『殿上湯の旦那』潜入ルポ

 3/9(土)、10(日)扇町ミュージアム・スクエア(OMS)において異国幻燈舎公演
『殿上湯の旦那』にバグジーから俺とたけをっちが客演に行った。
OMSも幻燈舎の芝居も俺にとっては憧れなので興奮しまくりの2日間だった。
この作品は探偵ものではあるが、銭湯が舞台の芝居で浴槽に水を張り、その浴槽から
役者が出入りをして過去・現在・未来を行き来するという何とも凄まじく、それでいて
繊細な芝居である。大量の水と労力と熱意を費やした。これは滋賀県というマイナーな
土地を拠点に活動する劇団が、OMSというメジャーな場所でどれだけやれるかという
意地であり、プライドであり、都会に行かないと楽しい事が見つけられないと思ってる
奴らに対しての挑戦状だと俺は思う。

【3/8(金)】仕込み
 仕込みだったが都合で夜しか行けずゲネしか参加できないなと申し訳なく思いながら
OMSに19:30に到着するとゲネどころか、まだまだ舞台が出来ていないではないか!
心配しながら一晩コーキングの仕事を手伝う。



【3/9(土)】初日
 いよいよ今夜は初日。しかし舞台&会場作りに手間取る。間に合うのか?と思い
ながら浴槽にお湯を張り、午後何とかゲネをする。ゲネ終わり、大慌てで水抜き&
水入れして何とか初日本番開ける。チョイ役なので銭湯客と刑事のシーンが終わると
ラストまで出番がない。客演でしかも他劇団の座長という事もあって、みんな気を使い
仕事を振ってくれない。だから本番中は邪魔にならないように舞台袖の片隅でセリフを
聞いていた。いいぞ!ウケてる!
本番終わると、すぐに水抜き。濡れた舞台と客席の水を雑巾で吸い取る地道な作業。
終わってから初日打ち上げで居酒屋の二階で宴会。何故かVIP席に座らされて恐縮
しまくりだった。何で初日なのに打ち上げなのかと言うと、二日目終わったら打ち上げ
どころじゃないないのよね。



【3/10(日)】楽日
 とうとう楽日だ。どうやら水漏れしているらしく数人のスタッフで昨夜遅くまで手直しを
していたみたいだ。スマン、俺は飲んだくれていた。今日もまだ手直しに掛かるようだ。
今日は昼間の公演なので少し心配だ、と思ってる所へ舞台監督・水戸氏が「間に合わ
ない場合本番は水風呂になります。」それを聞いてみんな急ピッチで作業を進める。
おかげで15分遅れではあるが何とか開場する。さあ最終、張り切って行こう!と思って
いると銭湯客役全員が本番直前に演出・宮沢氏に集められる。「やはり腰巻タオルの
下からパンツ(タマ隠しの為に履いていた)が見えると興醒めするらしいから…。」
それを聞いた銭湯客達、「座長、みなまで言うな!」と言わんばかりに一人また一人と
パンツを脱ぎ捨てていった。合言葉は「ここまで来たら脱がなね!」そんなこんなで
気が付けば開演、みんな気合十分でいい感じ。途中銭湯客全員が湯船にハメられる
シーンで勢いよく飛び込んだら、ほぼ水風呂だった。昨日同様、自分の出番以外は
舞台袖でセリフに聞き入る。昨日よりもいい!最後は泣けてきた。いい芝居だった。
かつて芝居をしてこんなに感動した事があっただろうか?いい経験をさせてもらった。
キャストもスタッフも観客もみんなにサンキューと言いたい!



【おまけ】
 帰り俺がトラックを運転する事になった。座長・宮沢十馬氏と若手のホープ・赤城
幻太君をナビゲーターに付けて瀬田の稽古場までワイワイガヤガヤと、いきなり
道を間違えてエキスポランドの周りをグルグル回ったけど楽しかった。座長が言った。
「今日の最終公演は幻燈舎史上最高のできやったね!」
本当にサンキュー。

お断り:手元に写真がなかったので異国幻燈舎のホームページから無断で掲載させてもらいました。