探索1日目

しまった。記念すべき初日、せっかく買っておいた日記帳に書き込むことを忘れてしまった。 全く、情け無い。そんな自分を変えようと、遺跡へ入る決心をしたのに。 とにかく、これは2日目に書いた日記である。 初日に何があったかを簡潔に書く。 ……というか、遺跡にはまだ入っていないのだった。 遺跡に入ることになったあらましでも書いておこう。 あれは、不思議な手紙だった。 セレス島へは時々父さんに連れていって貰ったが、他に知る場所と言えば森だけ。 そんな僕の元へ、招待状が来たのだから。 もしかしたら、あれは父さんと母さんへの招待状だったのかもしれない。 性格はともかく、腕は一流の二人。 でも、開けたのは僕だった。 退屈?そう、退屈だ。喧嘩しても絶対に勝てない親。 森に来る冒険者の皆さんも、各々腕に覚えのある人ばかり。 いつも守られる側だ。僕だって、1人でやれるのに。 それに…両親の近くにいればいるほど、影響を受けてしまう。 あの二人のようになるのは嫌だ。特に父さんなんて…。 だから。僕は、迷わなかった。 財宝なんて別になくたって構いやしない。 ただ、1人でもできるってことを証明したい。 危険も承知。未熟も、判っているつもりだ。 でも努力を続ければ、いつかはできる。 男には、命を賭けて為さねばならないことがあるんだ。 それが……僕の旅立ち。

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