探索6日目

山を越えた先に魔法陣は無かった。 その結果TC全体計画が修正され、再び山を越えることになった。 しかも今度は山の中でキャンプを張るらしい。 山の噂は聞いている。鬼よりも強い豚がいるというが、本当だろうか。 とにかく今までとは比べ物にならない危険。 自分なりの計算でも、勝てるかどうかは五分五分だ。 背筋が寒くなる。けれど、どこかで期待する自分がいる。 これこそ試練だ、と。自分の強さを試したい。 この数日、どれだけ自分が成長したのか…。 「そう焦んな。  ここで生き延びてりゃ勝手に強くなる。  そん時は本気で相手してやる――」 前に父さんが言っていた。 料理の味付けで喧嘩して、掴みかかっていった時のことだ。 目から火が出るほど強く殴られた。それでも叫んでは飛び掛った。 何を言ったか覚えていないけれど、多分強くなりたいって言ったんだろう。 気がついた時には全身痣だらけで倒れていた。でも、どういうわけか言葉が耳に残っている。 何くそ、と思った。時たま出会う動物、低級な魔物、そして酒場の冒険者。 危険だ危険だと言いながら、何も起こらなかった。 あんなとこじゃ強くなんてなれやしない。だから飛び出したんだ。 負けてたまるものか。 あとはいつものように書いておく。 起床後、いつものように食事。食事前にフォウトさんから注意を受けた。 悪戯なんてしてないし、するつもりもないのに…もう誤解は解けないんだろうか?とにかく言動には注意しないと。 と言ってるそばからセレナさんからも!すごい格好をされている! …あ、ああ。思い出すと頭がくらくらして何か落ち着かない。 ともかく、やっぱりいやらしい目をしてしまっているんだろうか。 どうすればいいんだろう。目の前が真っ暗だ。 悲しい気持ちのまま、キャンプ周囲で様子を窺っていた敵との戦闘に入る。 敵は今までに比べて手応えがなく、あっさり戦いは終わった。 動揺からか二発目を外していたので、これでよかったのだろう。 何でもない枝を確保し、移動に入る。枝は防具の加工に使えそうだ。 そして山越え。この日のメインだ。途中様々な叫び声、不気味な姿もあったが何とか越えることができた。 心配だったアルクさんやサフィさん、顔色の悪かったアーヴィングさんもご無事の様子。 TC全員、麓の砂地にてキャンプを張る。一安心。 キャンプ設営の後は各自鍛錬及び作製の時間だ。 今回の鍛錬では光の力を鍛錬した。帰ったら母さんに怒られそうだ。闇の力も今度鍛えるとしよう。 作製では各自が分担に応じてものを作ってゆく。僕は当然防具。 サフィさんとナミサさんに石英から防具を作ってみた。 ……女性の防具、とくに胸部に関わるものを作るのは恥ずかしい。 胸がドキドキして、なんだか腰の辺りがむずむずする。上手く作れただろうか。 あとは自分の分。アルテイシアさんに依頼された品を改良してみたのだが、これが予想以上にうまくできた。 設計ではラインをわざと緩やかな波型にし、打撃に対して衝撃を柔らげる計算だったのだが… そこでは少し失敗。しかしさらに多くの層にしたことで、継ぎ目の防御力が向上した。 次はもっとうまくできるだろう。ものを作るのは楽しい。 そして日が落ちたころ、申し込んでいた練習試合の組み合わせが知らされた。 相手は一番隊、イーグルの皆さんだ。…相手に不足は無い。胸を借りるつもりで全力を尽くそう。 でも女性を狙うのはどうもしっくりこない。アーヴィングさんに狙いを絞るとしよう。 同じ弓使い、ここは負けられない! あ…でも、あの技は男性相手に使うものじゃないか。アーヴィングさんの心を狙っても… うーん。あの技だけはお二人に使ってみようかなぁ…でもフォウトさんに怒られそう…うーん。 まぁ、その場の流れで決めよう。うん。 そんな悩みをよそに、最後にはいつもの通り敵の気配が現れ。 固いミミズが2匹、らしい。ミミズの肉は美味とのこと。 少し抵抗はあるが贅沢は言ってられない。なるべく肉がとれるよう戦うとしよう。 …これくらいかな。予想以上に書くことが多かった。 疲れるし痛いし、厳しいけれど…やっぱり楽しいな。 皆さんと出会えて、よかった。明日も頑張ろう。

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