EPISODE

船が島を離れた、その瞬間。 少女にとっての、島の「宝物」…… 生来の奇病により、本来なら彼女の脳に残せるはずがなかった、島での「記憶」は――― 全て、泡沫の如く弾け、雲のように溶けていった。   「……どうして、わたし、こんなところにいるんだろう……。 早く帰らなきゃ。ママ、きっと心配してる」   甲板に立つ少女の、人間離れした視力を持つ「蒼玉の魔眼」に、水平線の彼方の故郷が映ったような気がした。

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