空 木 岳
2006.12.9(土)〜10(日) L小山田(報告)、岡野
冬合宿前に雪のある山を登っておきたかった。今回の冬合宿は岩を登るより縦走的な要素が強いので、ボッカ訓練的なことをしたかった。そこで、空木を選んだ。空木の池山尾根は長く急なイメージがあったので、プレ冬合宿にちょうどいい。それと中央アルプスは行った事が少ない。夏は稜線上で水が取れないからだ。この時期なら水の心配をしなくていい。計画では宝剣岳までの縦走としたが、縦走はよほどの好条件がそろわないと無理だろうと思っていた。できればツエルトによるビバーク訓練もしたかったのだが…。
9(土) 雨のち雪
八日市IC 4:10 → 4:30 彦根IC → 駒ヶ根IC → 林道終点8:50 →12:10マセナギ →13:00迷尾根 →15:40空木平避難小屋
天気予報どおり雨。駒ケ岳SAで朝のテレビを見てると、さすが長野のNHK、雪山情報なんて物をやってる。今年の山は雪が少ないとのこと。駒ヶ根ICで降り、ロープウェイへ行く道を5分ほど走り左に曲がる。林道は終りの方で未舗装になり、落石があったりするので慎重に走る。最終の駐車場にはトイレもある。車が一台もない。「俺たちだけ?」東屋でパッキングをして出発。始めの内は車でも走れそうな道。いくつか分岐を過ぎる。途中「水場100m」の標識があり、「上で雪がなかったら困るから水くんでいこうか」なんてマジで考えた。迷尾根を過ぎてから急に雪が増え始める。雨が雪に変わりあっという間にラッセルになり、ワカンをつける。トレースは全くなく赤テープを探しながら進む。迷尾根を過ぎてからは尾根の右側をトラバース気味に登る。空木平避難小屋にトラバースする道と尾根通りに駒峰ヒュッテに行く道との分岐で、時間的に駒峰ヒュッテは無理と判断し、空木平避難小屋の方へ。トラバース気味に行くが、赤テープが少なくなり不安になる。引き返そうかなと思ったところで岡野さんがくらげのような白テープを見つけ、その直後に避難小屋発見。ほっとしたのもつかの間、小屋の入り口のドアが開かない。ツエルトビバークを覚悟したが、「押してもだめなら引いてみな」とはよく言ったもので、岡野さんが逆方向に押したら動いた。まだ新しいきれいな小屋だ。何とか薄く暗くなる前に小屋に滑り込めた。この日は誰にも会わず。小屋も我々だけで、荷物を広げ放題だ。11月の聖岳山行でしたように小屋の中でツエルトをはって寝た。7:30就寝。
10(日) 晴れ
空木平避難小屋7:30 →7:50分岐8:10 → 駒峰ヒュッテ→9:55空木岳10:05 →10:40分岐 →13:20マセナギ →14:50林道終点
天気予報では、午前中は今一歩、午後は晴れるとのこと。ところが、朝起きると稜線が見える。朝日でオレンジ色に染まる空木が美しい。今日はいけるぞ。明るくなってから歩こうと5時起床7時出発にした。後で思ったがもう1時間早起きしてれば良かった。昨日同様ワカンをつけて出発。昨日のトレースがなんとなくわかる程度に残っている。分岐までトラバースし、そこで余分な荷物をデポし、11時タイムリミットと決め稜線へ。10分くらいで森林限界を出る。そこからはラッセルは深くなくところどころクラストした斜面。ワカンの爪も結構効く。空木が奥に見える。近いんだか遠いんだか。強風の中、時々耐風姿勢をとったりしながら、順調に高度を稼ぐ。駒峰ヒュッテでは小屋の影で風がよけれていい休憩になる。ここまで1時間ちょい、いいペース。空木まで100mの標識があり励まされる。頂上で握手、写真撮影してすぐに下山。昨日来た道を下る。下りはあっという間。途中3人パーティーに追いつき、ラッセルから開放された。でもどうせだったら誰にも会いたくなかったな。3人パーティーは空木往復をあきらめて下山したのだろう。だんだん雪が少なくなり、マセナギではもう雪はまったくなかった。
幸か不幸か、一日目の雨、雪がこの山行を充実したものにしてくれた。トレースのないところを自分達だけで登ったのは、達成感があったし、自信にもなった。ワカンをつけてこれだけ歩いたのは初めてだ。ビバーク訓練はできなかった(しなかった?)がまぁいいでしょう。またこんな登山したいな。
帰りは夏合宿でも行った、「こまくさの湯」600円。
駒ヶ根ICから登山口までコンビニなし。
登山口までの林道は上3分の1くらいが未舗装。落石があるが、普通車でもいける。
プレ冬合宿・空木岳
12月9日・10日 L小山田 岡野(記)
4時半彦根IC集合。予報ではそろそろ降ってくるらしい。もう12月だというのにあまり寒くもない。年末年始の赤石に向けてビバーグ訓練をメインに計画を立てた。窓ぽつぽつ当たり始めた。雪ならまだいいけど、雨。まぁ、お山は降ってるかなぁ。駒ヶ根ICで降り林道終点まで車で登る。車20台くらい停められそうな駐車場があるが車は1台もなし。トイレも屋根つきベンチもあり。ここでパッキング。今回は食料は乾物中心、ツエルト、ロープも8mm20mなのでかなり軽い。20キロ位か?
8時50分カッパでスタート。道はまだ林道が続いているのかと思うほど整備されている。ずっと雨でものすごく静か。休憩も木陰に立ったままで手袋を絞る程度。はあ焼く雪に変わってほしい。道標は真新しいものがいくつもありわかりやすい。池山小屋との分岐の水場は大きな木の桶がある。下半分ほどは凍り、その上に雨水が溜まっている。やはり夜は冷えるようだ。雪は全くない。このままなかったら今晩の水はない。二人とも今日の行動用しか持ってない。ちょっと不安になってきた。ずいぶん時間がかかり12時10分ようやくマセナギ。雪はうっすらある程度。ずっと降ってる雨は雪に変わっている。大地獄小地獄もよく整備されている。迷尾根もしっかりした看板あり。ふつーに歩いてたらまぁ迷うことはなさそう。下りは後ろ向きにならないと降りられない様な急な階段がいくつも出てくる。朝から降り通しの雪で膝下辺りまで埋まるようになり、ヨナ沢の頭を過ぎ2,300m位でわかんをつける。夏道はトラバースルートになるので尾根へ出るが木が多く思うように進めないので再び夏道へ戻り、ストックをピッケルに持ち換える。トラバースが厳しく巻いたり、赤テープを探しながらでずいぶん時間がかかる。赤テープといってもタフロープの色が抜けて白くなり、くらげのように枝にまとわりついている。枝に積もっている雪と重なり近くまで行かないと、枝なのか赤テープなのか判別できない。この時間のかかりようでは駒峰ヒュッテは無理なので空木平避難小屋を目指す。駒峰ヒュッテ経由と空木平経由の分岐は道標あり。ここから15分で空木平避難小屋のはずだが、ここからがほんとに大変だった。地図とコンパスを出し目を凝らして辺りを見回す。もう必死。行きつ戻りつ、かなりの時間を掛けてようやく小屋発見!!!わかんでパタパタ走りながら小屋到着。既に15時40分。ずっと降り続いて天気も悪く薄暗かったので、今見つけられなかったらほんとにツエルトビバーグだったと思う。が。小屋の扉はびくともしない。レールの雪を払ってみても押しても引いても全く動かない。ほんまにビバーグ!?諦めモードだが諦めきれずひたすらチャレンジ。しつこくしつこく何回も。と、カタッ動いた!凍り付いていたようだ。2人で力いっぱい引っ張ると人が通れるほど開いたのだ!
今回の山行のクライマックスはココだったような気がする。小屋はきれいな板張り。隙間風もなし。外にはトイレもあり。あぁ幸せ。もう空木登らなくってもいい。
雪からの水作りはGWの春山以来。この前の八が岳は水取れたのでほんと久しぶり。広さがあるので作業も楽。ただ、いつまでたってもあったかくはならない。あるだけのものを着込み晩ご飯。油揚げや干ししいたけやカットわかめ、あんかけの片栗粉等冬山で使う予定の食材を試す。小山田さんは明日は空木に登ろうと言うが私はすっかりその気なし。小屋の扉が開いた時点で気持ちは途切れてた。まぁとりあえず明日起きてから、と就寝。ツエルトに入るがかなり寒い。一晩だけなのでシュラフもぬれてもいいし、シュラフもシュラフカバーも口をすっぽり閉じるがそれでも寒くてなかなか寝付けない。小屋+ツエルトは今回初だがこんなに寒いとは思わなかった。赤石への不安が募る。
10日5時起床。何だかいい天気になりそうな気配。小山田さんはやっぱり空木に登りたい様子。11時には引き返すことを決める。昨夜干しておいたザックカバーやスパッツはそのままの形で凍っている。小屋の中、といっても風がないだけで温度は外と同じ位だもんね。そりゃ寒いはず。
7時30分わかんで小屋発。雲ひとつないすばらしい青空。ずっと降り通しで昨日つけたトレースもほとんど消えている。それにしても誰一人会わないなんて。空木貸切ってあんまりないことだろーなと思う。昨日あんなに時間のかかった分岐まではコースタイムどおりの20分。ココで荷物を軽くして空木へ向かう。コースタイムでは1時間強。8時10分出発。順調に行けば11時にはなんとか山頂につけるだろう。交代しながらのラッセル。荷物軽くてよかった。クラストしたところともだんだん増えてくる。わかんの爪も意外によく効く。山頂に近づくにつれ風も強くなり、耐風姿勢でじっと待つ。9時半駒峰ヒュッテ着。ここでアイゼンに付け替えしばし休憩。駒峰ヒュッテは半分埋まっており、戸を開けるのはさらに大変そう。昨日空木平でよかった。さーいよいよ空木。9時55分空木着。あーいい気分。あのまま下山しなくてよかったぁ!山頂は風も強いのですぐ下山開始。途中またわかんに付け替え10時40分分岐。ココで大休止。昨日の雨がうそのよう。宝剣まですっきり見渡せる。さー下山下山。トラバースは慎重に行かなくっちゃな。ヨナ沢の頭辺りで4人ほどのパーティーに出会う。昨日登りはじめ途中でテントを張り、今日は空木は断念してもう下山の様子。この2日間で出会ったのはこの方たちだけ。ちょっと貸切ではなかったようだ。13時20分マセナギ着。この辺りには全く雪はなく、枯葉が積もって秋のよう。どんどん下り14時50分林道終点着。
プレ冬合宿だったが、プレ、は抜いてもいい程の充実感があった。ラッセルが多かったことや地図とコンパスでルート確認が必要だったこと、ツエルト小屋泊まり、わかんで歩いた距離も長かった。空木に登らず帰っていたらこれほどの気持ちは味わえなかっただろうなぁ。ついつい楽なほうに流れるが、行ってみるとやっぱりいいことあるなぁと実感。この空木なしでいきなり赤石はかなり厳しいと思う。何を持っていくかの再確認にもなった。1泊2日だが、私にとってはここ何年かの冬合宿よりも印象深かった。ぜひまた行きたいと思う。