”舞姫の滝で舞いましたヨ!!! ”

                                                                       記:渡辺

  だいたい、女性の方はアイスクライミングの苦手な方が多い。例に漏れず私もアイスは
苦手だった。60゜くらいまでの傾斜なら楽しく、うーん私っていいかも・・・などとう
ぬぼれ甚だしく登れるのだけれども、それ以上の傾斜がかかると前言撤回、泣きたなるほ
ど惨めな登りしかできない人でありました。
さて今回の山行はいかに?

山 域:南ア・甲斐駒ヶ岳戸台川周辺
期 間:1月23日〜24日
目 的:アイスクライミング技術修得
リーダー :市岡 メンバー:渡辺
アクセス :中央高速伊那インターチェンジより約1時間
行 程:1/23 八日市国立→戸台→丹渓山荘→鶴姫ルンゼ→山荘泊
1/24 舞姫の滝F1〜3

行動記録
1月23日 午前3:00

国立病院集合のはずが、リーダーがこない。Telしたところ、やはりお眠り中のご様子 でありました。約30分遅れの出発,I氏が助手席で眠りながら寝言のように荷物点検を始 めた。「あ!!!」 叫んだのは、私だった。車はすでに高速の中なのに「ごめん。ロープ忘 れた」ということで彦根よりUターン、さらに40分遅れの追加となり再び八日市を出発し たときは4:30分を過ぎていたのでありました。
大幅に遅れた出発にも関わらず、午前9時台に戸台の駐車場に着いた。本来ならここで、 車を置いてひたすら砂防工事の仮説道を歩くことになるが、ひろーーーい河原に小さなゲー トが隅の方で立っている。そして、ゲート脇には実に魅力的なダートロード・・・「ねぇ、 この車RAV4だよねぇ・・・」という一言で通過を決意したらしいI氏。RAV4の身を 案じつつ、通行止め地点を強引に突破、でもこのおかげで約1時間の仮設道歩きを免れるこ とができた。もしも、戸台に行かれる方は、ぜひとも4輪駆動の車で行くべきでしょう。プ ラドなんて最コーだよ! それでも途中からは道が崩れていたので、そこから歩きはじめる、始終快適な道を約1時 間半歩くと赤河原丹渓山荘に到着。 平成6年に営業を停止して以来まったく管理されていな いらしいが、まだまだしっかりしていて快適そうなのでここにテントを張ってベースにする ことにした。他に利用者はいない。どころか入山者の数も実に少なく辺りには静寂が漂って いた。
山荘より約30分 さっそく目的の氷に到着だ。ここまでくる途中にも数カ所の滝が点在し ていた。ここは、雪が少なく急な斜面に急な氷瀑がいきなり発生している。河原に横づけの 氷壁に、思わずニヤリとしてしまう。まずは、舞姫ルンゼを行こうかと言うことで現地へ到 着したが、見たところ非常に厳しくあまり氷も発達していないらしい。あとで、人に聞いた 話だが、戸台のシーズンは、1月末から3月頃までということで、暖冬の今年は始まりが遅 かったらしい、どおりで人が少ないはずだ。 気を取り直して、すぐとなりの鶴姫ルンゼへ向かう。氷は十分発達しているが、なんとまぁ、 私の苦手なヴァーチカルアイスではないか・・・。しかし、これをさけては戸台でアイスはで きない。リードはI氏だし〜などと超無責任な考えでもって、「さぁ、いこう!」とわざと元 気な声をだして氷下へ。でも、やっぱり怖い。後ろを振り向くと、ずっと奥の谷に七丈之滝が 見えた。すごい滝だ、いつかあんな滝を登ることができるだろうか?いまは想像もできない。 とりあえず目の前の滝を登ること。 約七mほどの80から90度くらいの滝、I氏がリードで登り始めた。ゆっくりと慎重に登 る。よくあんなバイルに身体をあずけてピトンを設置できるもんだ、ほとほとその勇気に感心 した。そして、優しいI氏は怖がる私のためにトップロープをセットしてくれた。 実は、私は これまでトップロープでアイスクライミングの練習をしたことがなかった。これが今回の技術 修得の鍵となった。 ぎゃーぎゃー叫びながら登る。恥ずかしくて情けなかった。滝のなかばで結局落ちてしまっ たので、いったん降りて休憩。そして、今度はI氏のバイルを拝借して登ることにした。登れ ないのをバイルのせいにしたかったから。でも先の良く研がれたI氏のバイルはすばらしく氷 に突き刺さった、キチッと決まったときの手に伝わる振動が心地いい。登りながら、I氏のア ドバイスが聞こえる。手の位置や足の位置、聞きながらその通りに体を動かすうちに次第に姿 勢が安定していくのが分かった。手は、すっかりパンプしきっているのにバイルは相変わらず スパッと決まってくれる。 そうか!アイスクライミングはこうやって登るのか!!! 目からうろこが落ちた気分だった。あとは夢中で登って、気が付いたらI氏の設置したピトン も全部回収していた。 登り切って、久しぶりに心のそこから「やったーのぼれたー」と叫んでいた。 その夜は、I氏と祝杯を挙げた。二人でリザーブのハーフボトルを開けてまだ足りない気分 だった。

1月24日

この日の予定は、舞姫の滝。この滝は南側を向いているため、朝早くから取り付こうと言っ ていたの出発できたのは8時40分頃だった。天候:雪 雪は降り続けるが気温はそれほど低くなく、F1F2と快適なクライミング。さて、本日の メインディッシュ舞姫の滝F3にやってきた。これまでは、こんな滝を見たらそれだけで後込 みしていたのに、今日はなんだか登れそうな気がする。だけどツララばっかりで悪そうな氷だ。 しかし先行者がいたため、ルートはある程度掃除されていたらしい。I氏がキョン足を決めな がら登っている。この日は、トップロープではなくセカンドとして登っていた。登りながら、 楽しんでいる自分にあらためて驚きと喜びを感じた。でも、ここをリードする勇気はまだ無い。 リーダーの勇気にやっぱり感心してしまった。 この日は、ここでおしまいとなった。I氏が風邪をひいてしまい体調が良くなかったからだ。 では、リードを交代しましょうといえればもう少しできるんだろうなあ。と思ったけどこれはま だ無理。それに、今回はかなり心情的に満足していたので帰ることに依存はなかった。

今回はいろいろ収穫の多い山行だった。その一つに、体力や筋力の足りない者はある程度ま で道具で解決できることを再認識したことがあげられる。片方のバイルのピックを交換し、も う片方のバイルはI氏が流血しながら磨いてくれた。おかげで、2日目はMYバイルでもちゃ んと氷を捉えやすくなったから。 さて、すっかりアイスクライミング嫌いが溶けた私とどなたか一緒に登りに行きません か?

鶴姫ルンゼを登る私舞姫の滝でキョンを決めるI氏
舞姫の滝F1,F2