クロックアップと冷却
クロックアップに冷却は不可欠ですよね。ここでは冷却への取り組みを紹介します。
1. Socket7の空冷 1999年 5月 5日作成
クロックアップを始めた頃はSocket7が主流だったので、アルファのヒートシンクを知らなかった私は60mm×56mmの銅製ヒートシンクを作って冷却を行っていました。
この銅製ヒートシンク+6cmファンで強制空冷を行いP55C(233MHz)を292MHzで常用
更にペルチェをと思いつつ、この状態で半年つかっていましたが、世の中の流れがSlot1に移行して来たので私もSlot1に乗り換えることにしました。結局Socket7での空冷実績は中途半端に終わっていきました。
2. Slot1の空冷 1999年 5月 5日作成
本格的に冷却に取り組み始めたのは中当たり(?)のSL2W8を購入したのがきっかけです。このW8はリテールファン・コア電圧2.0V・I/O電圧3.5V設定で504MHzのWin起動が可能だったので安定化のため冷却を強化することにしました。
アルファのP12052SBを購入し、アルミのアングル材を加工して6cmファン×2を取り付け、ペルチェをシングルでセットしました。(下2枚の写真にはペルチェはついていません)
CPU及びペルチェ取り付け後の状態
以上によりサーマルプレートの温度を室温以下にすることが可能になりましたが、結露の問題が浮上してきたためペルチェの電圧を押さえて使用することにしました。(ペルコンの購入も検討しましたが結露を抑えてもCPUは安定していたので見送りました。)
この状態で約3ヶ月使用しましたが、ファンの騒音が大きく使用環境を悪化させていました。室温以上であっても安定しているのですから、ここまでの冷却は必要ないのではと考えヒートシンクとファンを交換することにしました。
結局アルファのFH8025Aと8cmファンを組み合わせてペルチェに5Vを印加し現在メインマシンにて常用中です。
室温25℃でFinal Reality 8時間ループ/Superπ3355万桁をクリアしたので日常の使用には十分耐えるでしょう。
3.Slot1の水冷(Part1)
CPUの限界を引き出すには氷点下に冷却する必要があります。しかし、空冷で氷点下にするためには大掛かりな物が必要ですし、なにより騒音が我慢できるものではないでしょう。
そこで水冷へ挑戦することにしました。冷却に取り組み始めた頃から考えにありましたが、空冷の方が比較的簡単な空冷からスタートして水冷は最終目標でした。
(1) 水枕
水枕はアルファのFH10025Aをベースに製作しました。特に気を配った点は水流がよどむことなくFH10025全体の熱を効率良く奪ってくれるようW字形状に水路を確保したことと、水漏れを防止するためスウェッジロックで配管したことです。
FH10025Aとカバーはシリコンのシーリング材を薄く塗ってシールします。この水枕であれば4cm角のペルチェが最大4枚まで取り付けられます。
(2) バッファ板
とりあえずペルチェは2枚並列の構成に決め、それにあわせてバッファ板を製作しました。材質は無酸素銅を使用しCPUとの接点にはKENDONさんのピラミッドバッファを使いました。
バッファ板が凸形状なのは後で説明するCPU取り付け用プレートのスペース確保のためです。
(3) バッファ板の結露防止
結露防止のため低発泡のスチロール板を加工しバッファ板の周囲を囲みます。
(4) CPU取り付けプレート
バッファ板とペルチェの密着とCPUの取り付けを兼ねたプレートを製作し水枕に固定します。
(5) CPUの取り付け
CPUの結露対策もやらなきゃいけないのですが取り敢えずテストなので、形状の単純なCeleron300Aのコアダイ周囲だけをスチロール板で囲んで取り付けます。(ハヤコート処理だけはやってあります。)
(6) 冷却水の循環
PCケース内への取り込みはスウェッジロックを使い水漏れを防止しています。ホースも透明でフレキシブルなので取りまわしがとても楽です。(写真左) 循環は12リットルのポリタンクと水枕の間をマグネットポンプで行います。(写真右)
これで準備が整いました。テストの結果はこちらからどうぞ。
4.Slot1の水冷(Part2) 1999年 7月18日改訂
Part1では概ね良好な結果が得られましたが長時間の使用には無理がありますし更にクロックアップするためにもバッファ板の温度を−20℃以下にキープしたいと考えています。
現状の問題点としては・・・
@ 冷却水の温度が時間の経過と共に上昇する。(2次冷却をしてないので当たり前)
A ポンプの低周波みたいな音が気になる。
B 結露が発生する。(最初からわかってることですが)
C PC起動時にバッファ板の温度が大きく上昇する。
と4つくらいでしょうか。それぞれの解決策は次の通りです。
(1) 冷却水の温度上昇を防ぐ
単純に冷却水を冷やせば良いわけですが、そのためには熱交換器(オイルクーラーなどを利用したもの)もしくはウォータークーラーのような冷却機を用いる必要があります。また熱交換器であればファンで送風しなければなりませんし、クーラーであればコンプレッサーを回さなければなりません。どちらにしても騒音の問題があります。
私はうるさいのが嫌いです。静かな環境を得ながら温度上昇を防ぐためにはもう「水道直結型冷却」しかありません。ただこの方法において私は恵まれているのです。と言うのも・・・
1) 地下水なので水温が四季を通じて12〜23℃である。
2) カルキが少ない。
3) 年間の使用料がいくら使っても4000円
なのです。これならば使わない手はないですよね。
6月に工事を実施し、屋外から部屋の壁に配管を引き込みました。2枚ペルチェでテストしましたが騒音源は電源ファンだけなのでとても静かです。
(2) ポンプの音
「水道直結型冷却」にすれば解消。
(3) 結露対策
これが一番厄介ではないかと考えています。特にハヤコート処理のできないSlotの接点部分は対策が難しいです。取り敢えずバッファ板と同じように密閉して様子を見ます。
取り付けプレートの結露防止のため、材質をアルミからベークライトに変更しました。また、断熱材も硬さの異なるものを組み合わせて密着性を改善しています。
(4) PC起動時の温度変化を少なくする
恐らくペルチェの廃熱が追いついていないと思われるのでペルチェを1段4枚構成にします。
これで準備が整いました。テストの結果はこちらからどうぞ。
現在進行中です更新をお待ちください。