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精神保健福祉協会だより 編集後記 抜粋 第56号(2015.12.31)

◆ラグビー日本代表が、ワールドカップイングランド大会で、グループリーグ敗退ながらも3勝をあげるなど大健闘したため、ラグビー人気が一気に高まりました。中でもフルバックの五郎丸選手のキック前のルーチン動作が、五郎丸ポーズとして流行語大賞にも取りあげられました。何か行動を起こす前に一定の動作を行うことで精神統一をはかるやり方が、広く受け入れられたようです。2019年には日本でラグビーワールドカップが開催されます。新国立競技場の建設には間に合わないようですが、より一層の盛り上がりが期待されます。

◆今年の漢字は「安」ということでした。世界各地で、テロと報復の連鎖が続いており、悲惨な映像が流される度に、不安を感じます。戦後70年を経てなお、近隣諸国と安定した関係を築けていません。お隣の韓国との間では、慰安婦問題で一定の前進をみたようですが、未だ不安はくすぶっています。中国の経済成長に伴う拡張主義には脅威を感じるとともに、その政治・経済状況に大きく影響されていく不安があります。様々な不安に後押しされる形で、安倍内閣は、賛否うずまく安全保障関連法案を成立させました。

◆多くの日本企業の足元がふらついている中で、経済界をリードし、名門優良企業と思われてきた東芝までが粉飾決算に手を染めてしまいました。世界一の車の販売台数を誇ったフォルクスワーゲンが、排ガス規制の不正で苦境に陥っています。マンションのくい打ちデータ不正を含めて、何を信頼していいのか不安になります。彦根発で一定の自動車部品で世界シェアを獲得するに至ったタカタが、エアバッグ欠陥問題の対処に追われ心配です。何とか立ち直って新しい新年を迎えてほしいものです。

◆精神障害者が地域で生活していく際の支えの一つが障害年金です。その支給・不支給判定が都道府県によって最大6倍の差があるとの報道を受け、それを是正する新しい判定指針作りが厚労省で進められています。その中では1年間就労できた場合は等級を下げることなどが提案されています。このままだと、2級の人の約2万3千人が3級となります。障害基礎年金では3級はありませんので、年金不支給ということになります。精神障害者は一旦就労しても定着率が思わしくなく、就労を継続していくためには手厚い支援が必要です。不公平を是正すると言いながら、支給基準の厳格化になっています。

◆長期入院精神障害者の地域移行に向けた検討を進める中で「重度かつ慢性」をどのように定義するのか未だ不透明です。私は、1990年代初頭に中国を訪問し、日本の精神科医療について講演したことがあります。その時、日本ではセレネースという良い薬で、統合失調症の治療が進んでいると紹介したのですが、先方ではクロザピンを使っているというお話で大変驚かされました。日本では2009年になってようやく発売されましたが、今日に至るも、様々な規制があり一般には使用できません。中国ではアメリカ直の最新治療が導入されているのに対して、日本ではこの四半世紀、中国の後塵を拝しています。難治性の統合失調症の方が、速やかにクロザピンに到達できるような規制緩和が望まれます。

(滋賀県精神科診療所協会 上ノ山)




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