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精神保健福祉協会だより 編集後記 抜粋 第58号(2016.8.23)

◆リオデジャネイロオリンピック2016では日本人選手の活躍が連日伝えられ、大変盛り上がりました。獲得したメダルは金12個、銀8個、銅21個の計41個に上り過去最高だそうです。リオオリンピックの印象を確認したいと思って、外来にこられる患者さんたちに、この夏の関心事を伺ってみると、イチローの大リーグ3000本安打をあげる人や、SMAPの解散をあげる人など様々でした。中にはオリンピックなんて興味ないと、はっきり言う人も少なからずいました。毎年夏には高校野球がうるさいのに、今年はオリンピックが重なっていっそう迷惑という人もいて、人それぞれだなと改めて思いました。

◆それでも地元選手の活躍で、より一層興味を持たれた方も多かったのではないでしょうか。彦根市の桐生祥秀選手は、陸上男子100メートルでは予選敗退でしたが、400メートルリレーで見事銀メダルを獲得しました。高校3年で日本人初の9秒台突入かと話題になってからやや伸び悩んでいたようですが、今回の歴史的快挙でその能力の高さを存分に示しました。近江八幡市の乾友紀子選手は、シンクロデュエットと、チームで二つの銅メダルを獲得しました。井村ヘッドコーチが復帰してからの指導はとても厳しかったようですが、それに耐え、キャプテンとしてチームを見事にまとめていったようです。

◆それにしても日本人選手はチーム競技が強かったように思います。体操男子団体、卓球男子・女子団体、バトミントン女子ダブルス、競泳男子4×200メートルリレー、シンクロデュエット・チーム、陸上男子4×100メートルリレーなど、チームは個々の能力の総和以上の力を発揮することを示しました。私個人としては、テニスの錦織圭選手の銅メダルが印象的です。ツアー転戦の合間を縫って、ビッグ4の一角ナダル(スペイン)を破ってテニス界96年ぶりのメダルを獲得し、賞金もツアーポイントもない大会で「日本のために頑張るというのは楽しかった」の言葉を残して、個人ジェットで次のツアーに向かいました。

◆オリンピックが始まる前、大変な惨事がおきてしまいました。7月26日未明、障害者支援施設において障害者が襲われ、多数の命が奪われました。この事件は、多くの障害者やご家族、医療福祉関係者に計り知れない不安を与えています。外来に通う何人かの患者さんは、自分が過去に受けた差別や被害を二重写しにして涙しました。
 厚労省はさっそく「事件の検証及び再発防止策検討チーム」を立ち上げています。全容もはっきりしない段階で軽々しいことをいうのは控えねばなりませんが、個人の病理や社会の病理が複雑に絡んでいると思われる今回のような事件の再発防止を精神科医療のみに期待するのは困難です。一方で、措置入院制度や、退院後のフォローアップのあり方については、この事件と切り離して冷静な議論が必要です。入院医療の受け皿となる地域精神医療の現状を検証し、真の地域精神医療の充実に結び付ける必要があります。
滋賀県においても、滋賀のみんなでつくる地域精神保健福祉チーム(中核的人材)事業が始められようとしています。この機会に、精神障害のある方と共に安心して地域で暮らせる社会の実現に向けて、地域で具体的に機能するチームづくりが進むことを期待したいと思います。

(滋賀県精神科診療所協会 上ノ山)




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