陰陽の症状 V

陰陽の症状 V


 多くの方は、神経痛に悩まされていると思います。神経痛には、五十肩、腰痛、膝痛など各関節付近や首、肩といった様々な部位で発症します。またこの神経痛は、昼間は痛みをがまんしてなんとか過ごせるのですが、夜になると痛み出す人が多いようです。なぜ、夜に痛み出すか探ってみますと古典に説明がされております。

 夜になると昼間に比べて体表面にある陽気は体内に入り静かに眠ります。その逆に、体内にあった陰気が体表面に多くなり、夜は外気温も低くなるので、冷え症状を出すようになってきます。本来、皮膚面にある温度センサーが働いて、皮膚の体温調整をしてくれるのですが、疲労や筋肉の使い過ぎで血行不良をおこしていると温度センサーが正しく働いてくれなくなり、神経痛の症状が発生するのです。また、陽気は夜になると体表から内部へ行くので、昼間より痛みが激しくなるのです。このようなときは、陽気を補う意味で、保温することが一番良いのです。もちろん赤く腫れているような熱症状がある場合は冷やしますが、一般的に神経痛は激しい炎症がなければ保温させることがいいと思います。陽気をたくさん造ってあげることがいいのです。

 よくお風呂に入ったり、酒を飲むと楽になると聞きます。これも一時的に陽気が出来るから楽になるわけですが、お風呂からあがってウロウロとしていたり、酒を飲んでダラダラしていると温かくなった体温が、体表から発散されることにより、体内に残っている陽気も一緒に発散してしまうので、余計に痛みを訴えることがあります。だから、お風呂に入ったら身体が冷えないうちに早く寝ることが養生法の一つといえます。

 腰痛についてもそうです。炎症性でない腰痛にいつまでも冷たい湿布を貼付をすることは、私はあまり勧めていません。むしろ温めることをお勧めしています。捻挫や打撲のような症状や五十肩の痛みとは違っていますので、同じように湿布を貼付してはいけないのです。こういう場合は、経験豊かな治療家や医師に相談することが賢明です。

 痛みとは違うのですが、咳がよく出るかたがいると思います。夜とは限らず、朝の場合もありますし、湿気の時も咳が出ます。これについても古典では説明されています。夜に咳が出るのは、夜になると体表面から体内に陽気が戻ってきます。その時に、身体が風邪などを引いて肺や気管支に熱を持っていたりすると、体内に戻ってきた陽気と風邪の熱が重なって咳が出るそうです。朝に咳が出るのは、早朝はまだ冷えていて陽気もまだ少ない時です。冷えている身体に夜明けの冷えが重なって咳が出るそうです。夜と朝の咳では、同じ咳でも陽の不足、陰の不足と原因は全然違うのです。このように、正しい病理を知ることによって、正しい治療を行うことが出来るのです。


鈴木治療院
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