時 計 談 義


vol.1      オメガコンステレーションとの出会い                                

 時計はお好きですか。幾つ、腕時計をお持ちでしょうか。私は約10年ほど前 に腕時計の

魅力に心を奪われて一生の相棒にしようと。 男性が一般的に許される装飾品 の一つと考える

人がいて、ま た、生活の為には必要不可欠な分身と考える人もいます。 女 性にとっては指

輪やネックレスに似た思 いをお持ちの方も多いことでしょうね。 

 一度は腕にまといたいダイヤモンドをちりばめたロレックスやパティクフィリ ップ。 私自

身も時計に関する知識が無いのに時計が好きだった若いころ、こう思っていま した。そう、

まだ20歳代のころ。

 私は、子供の頃から古いものがとても好きで、なぜ自分がこんなに変なのか全 くわからない

まま、物を捨てると言うことを知らぬ大人になりました。 そのせいで、母親 からよく叱られ

たこと を覚えています。 お年寄りが昔、よく言ったのでしょうか。 物を 大切にしなさい

と。 豊かな 今の日本では、だんだんと死語になってきている言葉でしょう ね。 それを守

って古時計を大切に使って きた人が、 います。 勿論、それは1970年代 までに主流とし

て存在していた歯車やゼンマイ等で構成されていた機械式時計です。 メカ時 計と呼ぶ人もい

ますね。 私が販売用にホームページに載せている時計がほとんど機械式時計 なので、クォー

ツ式や短命であった音叉式を好まないと見られがち なのですが、デザインの シャープさの追

求と言う点では、今の電池式時計(クォーツ)にも心を躍らせます。

 実際、この世界に入るキッカケとなったのは一つの時計のデザインからと言っ ても過言では

ありません。 その時計と言うのは日本で一般的に最高級と言われるロレック スではなく、雲

上ブランド と呼ばれるパティクフィリップでもなかったのです。 それは今 の型の一つ前の

オメガ コンステレーションでした。 しかもクォーツの。 あれっと、思う人も多いことでし

ょうね。 本当にこの形の時計に魅力を感じてしまい何とかしていつかは手に 入れたいと思う

ようになりました。 勿論、その時 はまだ若くて稼ぎもしれていましたから 、すぐに手に入

る 訳もなく当分、カタログを眺めては、ため息をついてばかりの日々を繰り 返していまた。

その時の私の所有していた時計は4〜5つ程でしたでしょうか。                                                 

 勿論、すべてクォーツで。 歳も若かったと言うことでデジタルの9,800 円のカシオ製

のもの。 それと 、セイコーのオーソドックスな3針タイプのもの。 革バ ンドのものでし

た。  さらに、オメガコンステレーションを知る前に欲しくて欲しくてたま らなかったセイ

コーのランディと言うホワイトの文字盤のもの。 この時計はその頃、毎月の 愛読書であった

Big Tom orrowと言う雑誌の裏表紙に広告として載っていたもので した。 2つの

時計 が数ヶ月にわたり掲載されていました。 どちらもランディと言うペッ トネームで、私

が恋こがれた方は28,000円のプライスだった と思います。 もう一つ の方が確か3

4,000円程だ ったと記憶しています。 日本人の多くが思うことなんで しょうが、高い

物はすぐれた物で、安物買いの銭失い、とよく年輩方から聞かされたものでし た。 


 しかし、何故かその時の私は高い方には見向きもせずに、安かった方を見てば かりいまた。

デザインがこちらの方が良かったからです。 家内にちょっと遠慮していたの かも知れません

ね。 自分でも、よく覚えていないのです。 半年程の片思いの後、京都のあ る小さな時計

屋さんでこのランディを手に入れました。 嬉しかっ たことこのうえなし。 

 そしてもう一つは結婚記念品とも言えるもので、結納返しの一つとして家内か らペアでもら

ったもの。 確か一つが5万円程のものでし た。 これは、シチズンが作っ た真四角のクォ

ーツ時計で、ファッションデザイナーがデザインしたものでした。 ピエルカ ルダンいや、

確かクリスチャン ディオールのデザインしたものだった と思います。 真っ 黒の文字盤でま

るでオニキス文字盤のようなオシャレなものでした。 しかし、ペアでしたこ とは今だかつ

て・・・。   こちらも薄い記憶によると4〜5の価格別のグレードがあり 、下から2番目

だったと思います。最高価格はペアで30万円ぐらいだっ たと。    

この時計も例にもれず、外観のデザインのみで選んだのです。

 クォーツの場合、機械がどうだと言うよりはどなたでも、やはりデザインで選 ぶしか手がないようですね。  

 
 前置きが長くなりましたが、次はやっとコンステレーションの話へと。 あ る時、見たん

ですよ。 テレビで。 確か当時始まったば かりのニュースステーションと 言う国民的番組

のエンディングの後の一つ目のコマーシャルで。 時計が超アップで写され秒 針の一秒一秒

が動いていくと言うものでした。 確かコンビのやつでした。 外国人の男性 の声でこの時

計の名が美しい発音で語られているのが印象に強く残っています。 このコマ ーシャルが先か

後かは忘れま したが、この時、恋人のように大切にしていたセイコーランデ ィーのことをす

っかり忘れ、ひたすらこのスイスの逸品に憧れの対象を変 えていました。  欲しい。 お金

を作っていつかは手に入 れようと思いはじめ数ヶ月後にそのチャンスは来た のでした。 

 場所はグァム島のデューティフリーショッパーズ。 見つけたんです。 こ のときに。 

ひと目、見たとたんに頭の思考回路がショート し目は、まばたきを忘れじっ と見つめていた

のです。 女性の方ならわかると思うのです。 この固まってしまった感覚。  宝石、とりわ

け指輪やネックレスを見つめる女性の目。 そう、私も男 でありながら、こ の目に。・・・

ちょっと自分でも気持ち悪いとは思いつつ、この感動は一生忘れないことでし ょう。  

この時は隣に陳列してあったロレックスには目もくれず、ひたすらコンステレ ーションに。

 勿論、買ってしまいました。 まだ、日本 では消費税はなく、贅沢品と目 されるものに重

くのしかかった物品税と言うものがかけられていてオメガもロレックスも今の 倍ぐらいの値

段だったように記憶しています。                           

 私が買ったコンステレー ションは少々高くて30万円弱だったと思います 。 1ドルが確

か180円前後だった頃です。 それを持って次の移動地であるオーストラリ アへと。

 オーストラリアのホテルでこのグァムで買ったオメガコンステレーションを箱 から引っぱ

り出しニンマリとしながら眺めていました。  そして、言わなくても良いの に何度も何度

も、これさえあればもう何にもいらないと、繰り返している私が。 その言葉 は本当に軽薄な

自分の暴言と、今は思えてならないんです。 その後、どのようにして機械時計、しかも大半

が古時計を扱うようになったか を語っていきたいと思います。 とは、言い ましても私の本

業は古時計(アンティークウォッチ)を販売することで はありません。 趣 味半分、ビジネ

ス半分と言うところで、自称セミプロと言う ところです。 プロならこんな やぼったいホー

ムページに はせずに、もっと美しいものに仕上げることでしょうね。 パソ コン音痴でもあ

りますので。 時間が許せばこのページも徐々に更新しよ うかと考えていま す。 期待せず

に待って下さいね。 今 の本業がお払い箱となった時はこれで食べていこう かとも考えてい

ます。                                         

 これを読まれた方で、時計、とりわけ腕時計に対しての思いやエピソードな どをメールで

頂ければ嬉しいです。 それでは 、今回はこのへんで。                                                                                 アン ティーク YOU マネージャー







   続く                              H.9.1 1.17 MON




vol.2                                   

 クォーツはシャープですばらしい。機械時計は、その200倍・・・



 初めて買った本格的高級時計のオメガコンステレーションのその後には、少 々悲劇が。 

時計好きならよくやること、ながめてニンマ リ。私もご多分にもれず、やり ました。 しか

も、ルーペを片手にじっくりと。 あれ、なんか変。 そうです。 なんか違 和感が文字盤

に。 よくよく見るとグァムで買ったコンステレーショ ンの文字盤に薄い一 本のキズが。 

12時から6時にかけて弓のしなりのごとく。 これを見つけた時は、体が固 まり絶望感でい

っぱいに なりました。 はじめは、どうしたら良いのか全くわからず、オロ オロとして数日

を過ごしました。 手に入れた喜びが大きい分、その悲 しみは言うに及ばず 。 グァムのデ

ューティフリーショッ パーズに文句を言いに行くことも真剣に考えました。        

 あ っ。 そうだ。 ひらめきました。 気が付きました。 保証書と言う ものがあったこ

とをも気が付かない程、気がドウテンしていました 。 その当時、日本での 輸入元であった

日本シーベルヘグナーに恐る恐る電話をしてみました。 てきぱきした女性の 声で、無料補修

いた します、との答えにほっと。

 しかし、また、次の問題がおこりました。 そう、離れたくない、離したく ない、と言う

恋人同士によくあるあの例の感情が。 やっぱりキズがあっても、時間はわか るし別に問題

ないか、と考えたりも。

 そうこうして、悩んでいる時、思い出したのです。ふうっと、電話の女性の 声を。 無料

です。 無料です。 無料です。 と・・・ 確か言っていたな。 よしっ。  俺は男だ。

 清水の舞台から飛び降りた気分で、よし、送ろうとやっと決心が。 数日後 、荷作りをして

送りま した。 その時の気分ったら、どう表現していいのか。 長らくつき 合っていた彼女

が、「私、あなた よりアメリカ留学を取ります。」と言ってアメリカへ行く 彼女を見送って

いるがごときもので。 クソ ー、アメリカやろうめー 。と言う気分でした。  しかし、又、

ここで色気と申しましょうか、欲と申 しましょうか。 病気が出てきたので す。 どうせ文

字盤を交換するのなら、このとてつもなく高級に 思えたオメガコンステレー ションをもっと

高級にしようと思い、恐る恐る電話を取りました。 勿論、日本シーベルヘグ ナーに。 今

は、オメガと言えばSMHジャパンですが。 すると、以前の女性かどうかわ からなかった

のですが、てきぱきと反応してくれたのです。 この時の私の要求は、ダイア モンド付きの

文字盤に交換し て欲しいと言うものでした。 快く、OK をもらい次にお決ま りのプライスを

聞く段階になってたまげて しまいました。 はかったように、10万円です と。 そんなピ

ッタリでるも のかと心で思いながら、もともとのキズ入り文字盤の代金のこ とを話すと、相

殺しますと言う返事を頂 きました。 そのもとも との文字盤の値段が、確か 27,000円

あたりだったと思います。 いや、 37,000円だったかな。 残りの代 金は実費で支払

わなければなりません。 お金も無いのによく 決心したなぁと、今となって は恐ろしい限り

です。 そして、さらに、もっともっと恐ろしい出来事が

・・・・・・・・・・・・・・・・・。 なんと、「ダイアモンド付き文字盤 は、スイスオ

ーダーとな りますので、およそ半年かかります。」と。 唖然。 私の宝物 に、いや財産

に・・・・・・。なんと 時計業界は、つらい仕打ちを。 そうこうしているう ちに、すっかり

コンステレーションのことは頭の 中から薄らいでいき、約5カ月が過ぎたあ る日。 宅配業

者からの知らせが舞い込んできたのです。その 時は嬉しくて嬉しくて、1度 別れた彼女と再

び、よりが戻った時の3倍ぐらい嬉しかったのを覚えてい ます。 次の日に 現物が手元に届

き、大きな期待をもって恐る恐る包みを開けてみました。 出てきました、出 てきました。

 コンステレーションが。 スイスで生まれ、グアム島で買われオーストラリ アへ行き、日

本に連れてこられ、その後再び生まれ故郷のスイスからフェイスを迎え、やっ と我が家へ戻

ってきたのでした。 目出度し、目出度し。 帰ってきたコンステレーション の文字盤を見

て、アレェ ーーーーー。 何か変だゾ。 確かにダイアモンドはあることはあ るのですが、違

う。 やっぱり違う 。 何かが違う。 そのことを自分なりに、何度も何度 も考えてみまし

た。 そして一つの結論に至った のです。 ダイア入り文字盤と言えば、私 にとってロレッ

クスのDAY&DATEが頭に強くあったの です。 あの大きなダイアモン ドが。 6時と

9時のあのテーパダイアが強く印象に残っていて。 し かし私のコンステに は、小さな小さ

なメレダイアが各インデックスに2つずつ付いているのです。 しまった。  交換するんじゃ

なかった。 と、思っても後の祭り。 当然、宅配便の代引きなのでお金も支 払い済。 文

句を言うところもなく、このコンステレーションを思い出と共に大切にする以 外に選択の道

は無く、その後は一度も腕にすることなく大切に大切にしまってあります。  時をほぼ同じく

して 京都のあるアンティーク屋さんで、機械時計に出会ったのです。 その 名は、又、又オ

メガ。 デビル 。 1960〜70年ごろの手巻きの14KYGの長方形の 時計。 次回は

この時計のエピソードから 続けることにします。

                
                      アンティーク  YOU マ ネージャー


     続く                         H.9.11.30 SUN




 vol.3       古(いにしえ)の機械時計  再会  



 オメガ デビル とのめぐり会いは京都にある、とあるアンテイークショップ で。 輸入家

具や装飾品などを扱うお店で京都のお店では古い方のようです。 ある年のた しか8月だっ

たと覚えています。 なぜ、覚えているかと言うと、買った数日後に福井県に 海水浴に家族で

行き、 その出発の日の朝にクレームを電話で言ったからです。 その話しは 後にゆずること

として、早速、このデビルとの出会いの詳細をお話しすることにします。


 なぜ、そのお店を知ったのかは今となっては覚えていないのですが、ふらっ と、その店に

入ってまずアンティークの家具やアクセサリーをながめていると中程から腕時 計のショーケ

ースが目に飛び込んできました。 欲しかった、欲しかったコンステレーショ ン(クォーツ)

を手 に入れて約半年、もう時計は懲り懲りと思っていた矢先、そう。 例の ミニミニダイア

モンド事件で。  本当にもったいないお金の使い方をしたと反省しきり。  もう、時計なん

か・・・・。 と考えてた 時に。 目に飛び込んできたのは、そうなんです 。 昔、むか

し、中学生のころ使っていたあの機械式 時計を見てしまったのです。 体の 中の血が激しく

移動を始め、アドレナリンと言うやつがドンドンと 私を刺激するのです。 

何だこのときめきは。 一つ、一つ、じっくりと舐めるようにチェックを重ね 、店員さんの

いやご主人さんの迷惑そうなまなざしをもろともせず見ていったのでした。  当日はそのお

店のサマーセールたるものが開催中で、幸か不幸か私の購買意識がグングンの ぼり、どうした

のか、 買わなければいけないと言う義務感が発生してしまい、たまたま海水 浴に行く民宿代

が財布には隠れて いて・・・。 このサマーセールとは普段の価格の7%か 8%引きで、私

の購買意欲は爆発寸前で、こ の手持ちのお金が何の為に財布におさまってい るのかを考える

すべもなく、目は点となり一つの時計に ラブコールを・・・。 

 私の年代の人間は、幼き頃から腕時計と言えば機械式でどちらかというと自 動巻時計全盛

期に中学生時代を過ごし、初めての時計はシチズンのセブンスターと言うもの だったのです

。当時の価格で12,000円でした。 友達のしていたセイコーファイブス ポーツ(1

5,00 0円)に妙に引け目を感じていたのが思い出されます。 彼は京都 の方ならよくご

存じの四条の寺内で、 私のは伏見大手筋と言う商店街のタカノと言う名の時 計屋さんで買っ

たことも、引け目を生む原因だっ たのかも知れませんね。

 彼の両親共に学校の先生と言うのも手伝ってなのか・・・。 そのころは、 父親も母親も

おじいさんも当然、機械式時計をしていました。 今ではオーバーホール(O VH)と表現

する言葉も“分解掃除”と言ういかにも、もっさりとした言い方で町の時計屋 さんをにぎあわ

せたも のでした。 日に10本も20本もオーバーホールの仕事があったそ うです。 小学

校の時、見たハミルトンのパルサーと言う名の初期型デジタルは斬新で画期的 なものでした。

赤い文字のもの です。 機械時計が全盛時後期には、デジタル時計が羨望の まなざしで見ら

れ、今の時代は機械式が・ ・・。 高校を卒業するころにはカシオのデジタ ルが私の腕に。

 ウウゥ・・・悔しい。 機械式時計 の本当に魅力に気づかずに10数年間 、クォーツと過

ごしたことが。 そんなこんなで、このお店で機 械時計と再会を果たした訳 ですが、なかな

か簡単には機械時計とは良い関係にはいかなかったのです。 クォーツをして いる時は、ま

るで空気のような存在として はめているのか、はめていないのかわからない ような存在で、

充実感は全く無く狂わないのが当然の、まるでいつも身に付けていて全く違和 感のない、下

着、とりわけパンツのごとき存在だったのです。 パンツは人に見せるものじ ゃない。 人と

の差別化で優越感や劣等感を持つものじゃないのは、まさにこの時代のアルバ のクォーツであ

り、カシオのクォーツだったのです。 この文の見出しも“パンツのようなク ォーツ時計”

とよっぽど書きたか った・・・・・・。 女性の読者の方、ご免なさい。  しかし、パンツ

との決定的な違いは本来の機能以外に色々な機能が付き出したことです。 し かし、私にと

っては、まさに無用の長物。 アラームも 暗いところで役立つはずのライト も。 ただの飾

りでした。 ストップウォッチ機能もまともな目的の為に使ったためしはあり ません。 人

に見せて自慢するにも皆がはめていて全く差別化が出来ず、まさに時間を知る だけの道具で

した。 もっと、嫌な思いをしたのは一時、四国の徳島県に住んでいた時に、 同僚が全く同

じカシオの液晶デジタルウォッチをしていたことです。 何百とある種類の中 で同じものを

している人と遭遇すると、まず照れくさくなり、つい隠してしまいたくなるも のです。 さら

に追い打ちされるがごとく、その人が、似合わないのに流行のファッションを 身にまとって

いたり、いつも 1cmもの長さの髭のそり残しを数本、口のまわりに残すよ うなさえない奴

なら、嫌ですよね。 同じ 時計って。 すぐに、捨ててしまいたくなります よ。 しかし、

これがオメガやロレックスなら話は別 。 センスがよく見え、同じことから 話がはずんだり

して。 ちょっと偏見か。      

 話しを始めに戻してオメガデビルの話。 この購入したデビルの調子が思わ しくないので

す。 後にも先にもこんな経験はありません。 奇妙な現象が。 お店で見て いる時には気

が付かないことなんですが、持ってかえってはめてみると、あら不思議。 時 計本来の進み具

合の2 倍ほどの速さで針が動くのです。 このデビルは秒針のない2針タイ プなので秒針で

見ることは出来ま せん。 当然、お店のご主人はオーバホール済みですと、 何度も言ってい

たのに。 そして、前述の海 水浴の日にクレームの電話をしたのでした。  その時も、オー

バホール済みですと・・・・・。 そして、とにかくおかしいので見てくれと 頼み、送り返

しました。 私としては、やれやれと言うところでした。 1週間ほどして、 帰ってきまし

た。 待ちに待ったデビルの帰還。 そして、お店からの電話連絡が。 「何 も悪いところ

は見あたりませんでした。」 との返事。 まあ、それならと気を良くして腕 に付けること

に。 

 数分後、時計業界が信じられない自分が出来上がっていました。 バカヤロ ーの心境か

ら、一歩上の段階へと登り詰め、空中浮遊が出来るぐらい頭に血が上ってしま いました。 何

が保証だ。 この時、入門間もない機械時計の道から挫折をはや、突きつけら れました。 不

誠実な店め。 しかし、後で冷静に考えてみるとオーバホール済みと言っても いつしたと言

う、決まりや規定は ないし20年も30年もたった時計なら当然何度かのオ ーバホールはや

っているだろうし、その件に関しては正しいのかも知れないなと。 10年前 にオーバホー

ルを済ましていたりして、それをオーバホ ール済みと呼ぶのも言葉のあやと しては正しい。

変な納得を勝手にして、いつにオーバホールされたものかを聞かなかった自分 に反省をした

りして。 何か変だな、と思いつつ。 最後はどうしたとお思いですか。 そ うなんです。

 あの悪名高いミニミニダイア事件(自分ではこう呼びたい)のコンステレー ションと同様

に輸入元の日本シーベルヘグナーに送って泣きついたのです。 オーバーホー ルとキズ磨き(金

ムクのみ可能)を頼み無事、かえってきました。 一度、文字盤のクリーニン グなるものを

勧められたのですが、丁重にお断りしました。 代金は確か2万5千円前後だ ったと思いま

す。 完璧 に直りキズもきれいに磨いてありました。 さすが、日本シーベ ルヘグナーはす

ばらしい。 文字盤ま できれいにクリーニングされていました。 よく言わ れる書き換えで

はありません。 そして、いっしょに帰ってきた修理明細書には文字盤クリー ニングと書か

れた文字の消しあとがわずかに読みとれました。 儲け儲け。 電話で勧めて きたときはす

でにやってあったんだ。 思わず飛び上がって喜んでしまいました。 しかし 、よーく考え

てみると、お店にサマーセールで数千円安く買ったはずのものが、高いものに なってしまい

ました。 まあ、これも月謝だと思って・・・。

                                                                        アンティーク YOU マネージャー


     
      続く                   H.9.12.11 THU




vol.4    

    ROLEX は い も く さ い ?
 

 14金イエローゴルドの角のオメガデビルを手に入れてからのその後は・・ ・・・。

その後はクォーツの時計をすることは、めっぽう少なくなり心が機械時計の魅 力にどんどん

と取り付かれていきました。 その魅力とは何かと、若い方には聞かれそうで すが、“ズバ

リ一言でこれ。”と言うものはありません。 心が落ち着くのです。 何故か 。 電池も電気

もなく 動くのですよ。 今、はやりのエコロジーにピッタリのプロダクトで す。 日本に住

む中学生以上の年 齢の人が、時計を所有することがほとんで、すべてが手巻 きか自動巻の機

械式時計であったならば、も っと地球環境にやさしいはずなのです。その上 、時計職人のお

じいちゃんもニッコリと元気モリモリ。  水銀電池や酸化銀電池はよくない ですから、地球

には。 機械時計の中を見たことのある人ならよく わかると思うのですが、機 械の好きな人に

とっては感激の構造です。 動きがとてもかわいらしいんですよ。 やっぱり 、発電式クォ

ーツじゃ、嫌なんです。 ローターと呼ばれるものが回るのは同じなのですが 、やっぱり、

やっぱり歯車コッチン、コッチンのロービートのアンティークものの時計は、 いやぁ、最

高! この音を聞くと 気力充実状態 になれるのです。 いや本当。 ロービートって何か

って。ロ-ビートとは、 ゆっくりとコチコチ音を出す時計なのです。 はやい ものをハイビー

トと呼び今の機械時計 (現行式)はほとんど全てが、これ。 1秒間に10 振動ほどするの

です。 私はロービートと呼ばれ るタイプが好きなのです。 1970年代 あたりからハイ

ビートへと切り替わったようですね。 この ハイビートは油がはやく切れる ことこの上な

し。 その代わり精度はやはりハイビートの時計に軍配が上がりますが。 時 々あるのです

が、このロービートの機械式時計なのによく時間がでるものが。 嬉しくなっ てしまいます

よ。 よく、機械時計に精度を求めちゃいけないと言う人もいますね。 しか し、時間はよく

あうにこしたことはなく、時間のよくあうものは書き味のよい水性ボールペン に出会ったご

とく、それは不変的ではないと知りつつも嬉しいのです。 日に3分程狂おう ともその時計に

愛情が持 てるのなら、それはそれでよし、と私は思っています。 時間の追 求もコンディシ

ョンの整った油切れ のしていないアンティークものでも、日差で15秒くら いはでるものも

あります。 ロレックスのよく 整備されたもので日差で+3秒あたりのもの もみられます。

時計の中の機械を見たら、たとえ日差60秒の時計でも奇跡を感じずにはいら れません。 

その分、精度の良い機械式時計をお持ちの方は、それを大切にしてかわいがっ てやって下さ

い。 値段や価値は無関係。 普通は、お若いあなたより長生きするんですよ 。 多飯も食

らわずに、ほんの少しの油を3〜4年に一度欲するだけで。 100年以上前 からある手法で

作りこまれ今も尚、作動している奇跡の申し子。 私はこんな機械式時計を愛 して止みませ

ん。 今はやりの骨董品と実用品との中間的な存在ですね。 アンティークも のは。 すば

らしい。 いっぽう、現行品の中にも心躍る逸品も数多くあります。 特筆も のは何と言って

もロレッ クスですね。 俗に言われている雲上ブランドのパッテックフィリ ップやバセロン

コンスタンチンは、 庶民にとってはなかなか手が出ないしやはり貴族の時計 ですね。 そと

見は他の時計とそれ程違っているとは思えないのですが、裏蓋を開けてびっく

り・・・・・。 作りがとても丁寧で本当に人の手のす ばらしさを実感しま す。

 緻密でとても考え抜かれたムーブメント。 これら雲上ブランドの時計はパ ーティ専用と

言うところですね。 はめて活動的にスポーツをしたり、はたまた、手を洗っ たり、雑巾を

しぼる行為なんて・・・・・・! ダメ! 許せない。 特に日常ではめてい る恵まれた人に

私はお 目にかかったことは、2度しかありません。 羨ましい、おじさま達 でした。 話を

戻してロレックス 。 普通の時計フリークでない方は、ほとんどの方が世界 一の高級腕時計

はロレックスだと思われてい ますね。 ある意味では正しいですよね。 こ の意見は。 日

常ではめていても違和感がなく、パーテ ィでも威張れるし、はたまた、雑巾 をしぼっても不

自然じゃない(金無垢・天然石入りを除く)。 私 は贅沢にもアンティーク (注、このぐら

いの年代のものをアンティークと呼ぶのは本当はおかしいのですが。)のデイ トジャスト

(1970s)を腕にまとい、時として車掃除や職場(副業?の)で雑巾をし ぼったりして

います。 水をじゃぶじゃぶと使って。 車掃除には腕時計ははずした方が絶 対いいですよ。

ボディにキズが入ったりしますから。 一度、腕時計、確かオメガのアンティ ークもののコン

ス テレーションがボディに当たりキズが付いたことが。 最初にどちらの方 に目が行ったと

思いますか。  深く傷ついたボディではなくオメガの方でした。 そしてそ の時計にむかっ

て説教をしていました。 『何で、ぶつかったんや。 あほ! あやまり!』と 。 そしてしぶ

しぶ車の方も手入れしました。  どうも話が脱線してしまいますがロレック スの魅力につい

て私なりの見解を述べます。 その第一の根 幹となるのは、やはりポリシー があること。 

創業者の考えた頑固なポリシーを引き継ぎ、それを今ま で伝えたことが最大 の理由だと思い

ます。 そのポリシーと言うものがスゴイ。 販売面においても、またデザイ ン面において

も。 カルチェのマストと言う製品はご存じですか。 確かベルメイユと呼ば れる銀のケー

スにゴール ドプレートをかけたもので、安く値段を設定したディフュージョ ンシリーズを作

り入門用として設定しています。 販売戦略としてはよく考えられたものです 。 少し異なり

ますが ロレックスとチュードルの姉妹関係も、高すぎるロレックスをまず広 めるのに、チュ

ードルは一役かっ て出たわけです。 ガソリンを入れるたびに、ハイ、PH Sや携帯電話が

当たりましたと言うのとはち ょっとわけが違いますが。 販売戦略も賢い。  そして、手堅

い。 次にデザイン。 バブルバックっ てご存じですか。 

1930〜50年代あたりのオートマチックで裏蓋がプクッと膨らんだ時計です。こ れがまた可愛

い。 何とも言えない愛らしいデザインなんですよ。 私は物のデザインを評 価するには時

間が必要だと思います。それは初めて見てカッコイイと思ったものは、飽きが 早く来て無感動

になっ たり見るのも嫌になったりすることがほとんどだったからです。 一 目惚れと言うや

つの落とし穴には まると、お金がムダになってしまうから。 ロレックスの 時計は私が時計

初心者のころ全く魅力を感じ ませんでした。 以前に述べたようなシャープ なデザインのオ

メガコンステレーションの現行品(一つ 前のやつ)に心は引かれました。  今もこのデザイ

ンは好きですけれど。 ロレックスの‘ いもくささ ’が何とも言えず早い回にボディ

ブローをくらったボクサーが、10ラウンドあたりで我に返った時には、もう 倒されていて

気が付いたら、病院のベッドで伏せていて、うら若い美しい看護婦さんが目前 にいる。そし

て、その看護婦さんとお付き合いが始まる・・・・・。 それが私がいだくロ レックスの魅

力なのです。 一発パンチでは無く、時間を経た後のボディブロウの連打のご とく。 又、 

長い間い つもいつも見ていたのに、突然その魅力に気が付き、抱きしめてし まった彼女のご

とく。 そんな存在 だったのです。 オー、ロマンティック!   いやぁ 、変なたとえば

かりで、お許し下され。

 

                            アンティーク  YOU マネージャー                



      続く                     H.9.12.27 SAT





 vol.5                                                                         ア ン テ ィ ー クの 魔 力 は 何 処(いずこ)か ら    

 今回はロレックスの魅力からアンティーク ウォッチの魅力の続編と言うこ とで車と絡めて

書こうと思います。 中古車をどう思いますか。 きっと、普通の方はお金が あれば新車

で、ちょっと足らない時は中古車と考えられているのではないでしょうか。  私は全くこの考

えは持ち 合わせていないのです。

その物を手に入れるか、入れないか、それだけ。 “へぇー。 おまえ、変 と違うか。”と

思われることでしょう。 そうなんです。 私も自分でそう思います。 骨董 商はこだわり

屋で偏屈が多いもの。 日本人、韓国人、アメリカ人とZINにも色々ありま すが、私はやっ

ぱり HENZIN なのです。 自分では、そうは思わなかったんですけれど 、回りの人がし

ょっちゅう言 うもんですから、反論するのが面倒くさくなってしまい、あな た日本人、わた

し変人と言う具合にエス カレートしてしまったのです。 生まれてこのかた 、新車と言うも

のに縁が無く一度も乗ったことがあ りません。 しかし人一倍の車好き。  日本の若者は新

車崇拝でいつかはクラウン、と言う古い宣伝コ ピーのごとくグレードアップ に生き甲斐を見

いだす。この新車の為にあくせくと働き、爪に火ともす思 いで頭金をつくる のです。(一部

の大金持ちを除く) 私の考えは違います。 いつもいつもピカピカの新車に 乗っていた

ら、10年前の車に乗っている奴の気持ちがわからないし、いつもでっかい車 に乗っている

奴は軽トラックに乗っている人の気持ちがわからない。バイクに幅寄せをする 車をよく見かけ

ますが 以前、バイクに乗っていたのでバイク乗りの気持ちもよくわかります 。 一つは人間

修行として の見識を広める為。 ちょっとオーバーか。  生活レベルは下 げられないと一

般的には言われていま すよね。特に食べ物は。

 車にもあてはまるのでは。 ちなみに、私の車は整備に出す車屋さんからい つもパワステ

付きで、もう5〜6年新しいのが30万円ぐらいで手に入る、と言われ続けて もう数年。 

負けません、12年程前の車でも。 調子いいんですよ。 勿論、消耗部品は しよっちゅう壊

れたり 、交換したりしていますけれどね。エンジンがかからなくなることな んか日常茶飯

事。 好きなんです よ。 古い車も。 好んで乗っています。 アンティー ク時計とよく似

た感覚を持っています。  車 の話で恐縮ですが、この車は7年前に5年落 ちで38万円で

オークションで買い20万円かけて車検整 備をして、今日に至っております 。 一時期、高

速走行後に2時間程エンジンがかからないと言う持病 も去年、完治した模様 で、きっと前オ

ーナーはこれに嫌気がさして手放されたのではないでしょうか。 車はVWの ゴルフです 。

インターネットで整備書を探しだし自分で出来る整備は自分でして、経費節約 と楽しみの一

つとして、活用しています。 これも、時計同様かわいいんですよ。 箇条書 きにしてみま

すね。 

メリットその@。 

 12年も前の車なので、あと数年したら珍しくなり皆がふりかえる。 これ がどうしても

欲しいと言うマニアが高値で買いに来る。ちょっと、虫が良すぎるか。まずな い。    

メリットそのA。

これだけ長く乗っていると新車を3年または5年で乗り継いでいる人とは、貯 金に差がで

る。 しかし、私は、まだ差をつけるところまでいっていない。 時計貯金をしているか

ら・・・。 いずれこのことに関しては、詳しく語りますが。 これは確かな ことで、車は買

っても売っても 儲かる人がいるのだから、逆に利益提供をする側の人もいる わけです。これ

は、時計の売買にも言える ことですが。  はい。

 別に新車が嫌いな訳ではないのですが、好きにはなれない。 なったら時計 が仕入れられな

いかも。

また、もう一つの理由として魅力のある車が少ないこと。 トヨタのプリウス を除いては。こ

れには、明確なポリシーがありますから。 足を固めたスポーツカーもこの年 になれば、非実

用的で腰を痛めやすい。(お金があればポルシェには乗ってみたいが・・・・ !?) そして

ガソリンもよく食らう。

 特に日本の自動車メーカーの物作りの考えは、好きにはなれない。 デザイ ナーが消費者の

欲しい物や求めている物を作らず、自分たちが良く売れると思う物を作り、悦 に入る。 車

の形がそっくりで画一的なこと。 ほとんどの国産車には魅力は感じませんし 、買ってみたい

とも 思いません。 きっと、すぐ飽きるだろうな、って考えてしまいます。  一般人のする

ことは、新車の 間はしこたま磨く。 そして、又、磨く。 一つ大きなキズ が入ると、もう

次の車のことを考え、見向 きもしない。 やはり、ヨーロッパやアメリカと は車の歴史が違

うし、考え方が全く違います。 首都 圏あたりではマイホームがままならな いのだから車に

でもお金をかけようと思う人がいても不思議では ないのですが。 突然です が、     

メリットそのB。

 やはり長く乗っているとその車のことが良くわか ってき、メカ音痴から脱 出出来るので

す。 自動車整備の雑誌は難しくて、絵や文章を見ているだけでは上の空。  実際に身をも

ってやってみると、すぐに覚えられるのです。 プロに任すところと自分で出 来るところの

区別もついたりし出すのです。 そのCはオマケのようなものなんですが、グ リコのオマケ

のアンティークもの程、価値のある話ではありませんが。 そうなんです。  心が満たされる

ので す。 そして、いつも一緒と言うことで、大きな大きな母の愛のような 安心感を感じる

のです。 時々 、不安なことも・・・・・。 欧米先進国と島国、日本では 物に対しての考

え方が全く異なるのです。  ただ、私やアンティーク好きな方は、欧米タイ プの物の考え方

をし、日本の一般的な人の物の考えは 、今の日本の工業製品に代表されるよ うに、一定時期

が来れば壊れるように製作し又は、飽きが来るよ うにデザインしてあるもの が普通だと思わ

れているのです。 そして、それが当たり前と言う法律があったり、決めごと が存在するの

です。 例えば、車の話ばかりを例に出して恐縮なのですがある車が製造を終 えて、次の型

に移ると数年で部品の供給が無くなり、泣く泣く廃車にしなければいけなくな ります。  

これに対向して部品を買い集めるマニアの方もおいでになります。 涙ぐまし い。 私のVW

のゴルフはいつまでも部品の供給がOK。 欧米の一般的な物の考え方は使え る物はとことん

使う、と 言うもの。 人が使った物だから穢れ(けがれ)ていると言う考え は存在しないの

です。 むしろ、前 オーナーはどんな方だったのかと興味がわいてくるので す。 時計も然

り、アンティークものでもユー ズドでもその時計の歴史

を考えることは楽しいものです。 スイス製の時計は当然スイスで産声をあげ ているし、ロ

レックスの現行の並行輸入ものならどこかの国の販売店を経由して日本に入っ ているはずで

す。 色んな国を巡って日本にやって来た時計にロマンを感じます。 特にア ンティークもの

で勤続2 5周年の記念文字が彫り込まれたものや、恋人の名前を彫り込んだ ものは、感慨ひ

としおです。 19 40〜60年代のアメリカン ウォッチによく見られます 。この人は今ど

うしているのかな。 なんて考 えたりして。 1950年代に20才として も、1999年の

今は69才あたりになられているわけです ね。 いやぁー、機械時計の生命 力にはたくまし

さを感じずにはいられません。 さて、車の話が長く なってしまってアンテ ィーク時計の話

が後になってしまいましたが、お許し下さい。     


        ○ ○ ○ アンティーク時計の魅力 ○ ○ ○

まず、 デザイン 。 今のものとは一線を画す。 明らかに現代のものより優れている。 アー ル

ヌーボしかり。 アールデコしかり。 やはり、ロレックスを見てもオメガを 見ても、デザインは初期型

に軍配が上がる。 次に、 人の手の入り具合。  同じケースでも、金型でプレスしたものとかた

まりから削って作り上げたものでは、強度に違いが見られます。 同じステン レス素材でも、堅さが全く

違います。 そして、長く使っていくと歪みに差が。 車好きの方ならアルミ ホイールの鍛造と鋳造の違

いを考えて頂ければおわかりになりやすいことでしょう。 ロレックスのオイ スターケースは、金属の固

まりを削って作ってあるのです。 ロレックスが高価なわけもうなずけるでし ょう。 機械化しているの

で昔ほどではないでしょうけれど。 その昔は、工作技術が低く人 件費が安 かったので、手作業のものが

数多くありました。 今の時代は人件費が高く、企業は常に安く 大量に作る方 法を考えたあげく、日本の

企業は利益が上がるもののみを作り出してきました。 車でもそ うなんです が一部の例外を除いては。 

今の機械時計の安いもの(無名のもの)と、アンティークと呼 ばれるものの 、極端な例をあげるとプレス

で作成されたムーブメント(機械時計の中身)に、アジア諸 国の人件費の安 いところで組み付けられたも

のには、ムーブメントを削ったり磨いたりする作業はあり ません。 一方、 アンティークものや現行もの

でも高級品はムーブメントが美しく削りだしてあったり 、ほうの木でピカピ カに磨き込んであったりし

て。 この 見えないところのこだわり が、魅力的です。 ほんとうにオシャレな人は見えない

部分の下着にお金をかけると言いますよね。 そして、その次に 車にも共通 することですが、シンプルな

ものは壊れにくく万が一壊れても、 修理がたやすい。  ただ複雑時計と呼ばれる機能を備えたも

のは、別ですけれど。 そして、 古さからくる弱さゆえの、持ち主のいたわり。  この物へのい

たわりが、時計を思う気持ちになり、人との共感となって存在するのだと、私 は思います。 だから、暖

かみが感じられ、愛おしさがわき出てくのでしょうね。 アンティークウ ォ ッチの無い生活、いや人生は

私には考えられないのです。 ちょっと、オーバーだと思われるかも知 れま せんが、時計から学び、時計

をいたわり、時計と共に過ごし、時計で生計をたてていきたいと思っ ており ます。 宜しく。

次回は 時計貯金事始め と言う題で書こうと思っています。  


                           アンティーク YOU マネジャー     


          続く            H.10.2.9 MON






  VOL.6  
            時 計 貯 金 事 始 め
      

私はお金と言うものにあんまり執着の無い人間です。お金の苦労をしていない からだと年輩の方か

らお叱りを受けそうですが、食うや食わずの日々も送ったこともあります。学 生時代も車にお金をか

けすぎて、フラフラの生活を送ったことも古い記憶の片隅に残っています。そ んな人並みの苦労?を

へた後でも、無いんですよ。お金への執着が。まぁ、天下の回りもの的な感覚 が強く、ちょっと稼ぐ

とすぐに時計を買ってしまう日々を10年ばかりやっていると、たまるはたま るは時計が。幾つある

のか、数えたこともなく、いや数える気にもなれず。50本いや100本なの か、150本なのか。

全く見当がつかない。時計達に囲まれてハッピーな日々を数年送り、本当にわ たしゃ幸せ者と、常々

かみしめる日々。そんな恍惚な毎日を何の疑いもなく過ごしておりました。来 る日も来る日も時計を

眺めてニコニコ、ニタニタ。ウーン、もう死んでもいい。僕幸せ。と言うそん なイメルダ・マルコス

(マルコスフィリピン元大統領婦人)のような収集癖を彷彿させる勢い。はた また小学生のポケモン

マニアが、ポケモングッズを集めるがごとく。脇目もふらずに買った、買った 、買いまくった。あげ

くの果てに貯金はゼロ。いや、ゼロどころか借金が・・・・。そのいきさつは と言うと、あるところ

に存在するある骨董屋でふとしたことから意気投合してしまい、通うは通うは 。まるで3LDKにお

住み願っているパートタイムラヴァー(単なる愛人)さんの元へ行くがごとく 。話すは話すは。黒柳

徹子かはたまた古館一郎のごとく。買うは買うは時計山が積み上がるがごとく 。時計借金(貯金では

ない。)も膨らんで10万円から始まって、ンー百万円までにもなったことも 。ここまでくれば、もう

バカを通り越して発狂の一歩手前。発狂を阻止するには、残された道はただ一 つ。借金をゼロにする

こと。そのためには職業としての仕事からの収入では返済不可能。ここも、残 された道はここでもた

だ一つ。買い集めた時計をお金に変えること。普通のマニア上がりの時計ショ ップのご主人はこのパ

ターンで、私より偉いことにこの場に及ぶと皆さん見切りをつけて、『持って け、ドロボー』的に大安

売りでさばき出すのです。売れたらやめる人、それとも再度仕入れて商売を始 める人あり。私はその

どちらにも属さないタイプだったのです。                           
                                                

  裕福でもないのに→時計の買いすぎ→借りてまで買う →借金をする→借 金が増える→返すためにまた

お金を借りる→そのサイクルの最中もひるまず時計を買う→お金の借り入れ+ 時計代金の借金が増大する

→動きが取れないことにやっと気づく。→時計を売り始める。                                                                    

という輝かしい自分だけの軌跡を描きつつ、家族を養うことや住宅ローンの支 払いがあることをすっ

かり忘れてしまっていました。ここでまた大きな大きな問題が・・・・。マニ アが強いのか時計に超

愛情を注ぎすぎたあまりの末路なのか、売りたくない、売れない、みんな思い 出に満ちた時計達ばか

りなので、イヤーーーーーーァ! 離れられない。・・・・離したくない。ど うしたことか、思い切っ

て売れない。そんなこんなで、ちょっと売っては、やっぱり売るのを止めよう かと煮え切らず、自転

車ならぬ三輪車操業をやって今日に至っております。

その時計中心の骨董屋さんとの出会いが私の人生を変えたのです。おかげで彼 は嫁をもらい、新築の

高級注文一戸建て住宅を建て、新車の外車(ちっちゃいやつ)を買い、おまけ に店まで・・・・・・

・・・・・。 ウウッー クシュン。(すすり泣きのつもり) 〔注、私一人 の売り上げだけではない。

企業努力も少しはあった。〕 一人宇宙の彼方に放り出された私は、言うに及 ばず時計三昧、慢性金欠

病と時計の山。うれしい気分の裏腹に、支払日が近づくと一つ、また一つと“ 時計さばき川”に流す。

身を切られるような思いの苦痛に満ちた時です。辛い、本当に辛い。江戸時代 の農民が生活苦の為に

我が娘を連れて行かれるがごとく。新しく仕入れる時計の喜びより、売れて里 子に出す時計の辛さの

方が断然大きかったのです。我ながら、自分が情けなくなることしばしば。よ く、子供の頃に思った

ものでした。大人の人の言うことは絶対で、みんな正しい人ばかりで女の人は 皆、優しくて清らかで

天使のごとく美しいと。物を大切にしては誉められて、粗末にしては殴られて 。そんな子供のころの

記憶が、脳味噌いや脳みその中のどこか一部にこびりついていていつも行動に でる時には、ウェイテ

ィングをかけるのでありました。大人の中には良い人もいるし悪い人もいるし 、女性の中にも計算勘

定が一番で情の全く無いご婦人もおいでになります。ハイ。ども。そもそも子 供のころは、女の人は

車は運転は出来なくて、決して犯罪などは犯さない。いつも控えめで、気配り 人生を歩むものだと信

じ切っておりました。そして、使えるものは決して捨てず、たとえ壊れたとし てもどこかに取り置い

ておいて何かの時には役立てようと・・・・。常々、このような考えが脳みそ を支配しておりました

もので、上記のようなことが姿を変えてあらわれたのでございます。しかし、 これとて日々刻々と時

を経ていきますと、時計借金の返済を考えるといや、迫られると選択肢は一つ しか残らないのです。

威勢良く売ること。これにつきるのです。 そんなこんなでいつもいつも、怖 いお兄さんの取り立て

にも辛くもあわず、日々暮らせていっているある日、突然なのですが、ふと頭 にわき出た考えが・・

・。それと言うのは人は人が決めたお金と言うもので、物を買い世の中が回っ ているのだが、それは

資産いや財産の小さな一部分というところに目を付け、お金を貯める人がいれ ば純金で貯金に当てる

方あり、ちょと古いですが金丸信元副総理は金の延べ棒をしこたまお持ちでし た。はい。土地で資産

を持つ大金持ちも存在する。そこでよく考えた。腐らないもので価値があれば そして後で売れれば、

根性入っていればたいがいのものは資産になるのではと本気で考え出しました 。入ったお金すべてで

時計を物色し、はたまた借金をしてまで集めまくってしまったのです。そのと きの購入先(仕入先)

の殺し文句はいつもこうだ。『アンティークは常に一点物。今買っとかなけれ ばもう二度とは手に入ら

ないかもしれないし、二度とはこんなにコンディションの良いものは手に入ら ないかも知れない。』と。

単純な私はこの言葉を信じて買いまくり、手持ち現金はゼロと言うこともあり ました。けれど気持ち

はそれほど落ち込まず、将来時計が取り合いになる妄想を抱いておりました。 実際ロレックスの一部

のステンレススポーツモデルにはそんな現象が今もなお続いております。とに かく、今もこの時計貯

金後遺症が少々、いやかなり残っており、二百数十万円の借金を返せぬままに 、怖いお兄さんの襲撃

にビクビクしながら、平穏に毎日が過ぎています。誰か時計買って。人助けだ と思って。

イ ン フ レ に 強 い 時 計 貯 金!・・・・・・健全な方は真似をしないよ うに!


  


   続く                         H.10. 9.15FRI




VOL.7
    お 好 き な ブ ラ ン ド は ・ ・ ・    

 
あなたのお気に入りのブランド(時計メーカー)はどこですか。
ロレックス、オメガ、ロンジンにカルチェなど、さまざまなブランドが存在しますね。 機械重視の方なら、ゼニスやジャガー・ルクルトやアンティークもののパッテック・フィリップやバセロン・コンスタンチンがお気に入りでは・・・・。  
 私のお気に入りはアンティークもので、1960年代あたりまでのロレックスやオメガがお気に入りです。 
ですから普段使いにはROLEXのDATE-JUSTを2本、代わる代わる使いまわしているのが、最近の私です。 ROLEXと申しましても旧タイプのアンティークの香りゆかしい1603と1601です。 1603は総ステンレスでベゼル(ガラス周辺の押さえのような部分)がステンレスなりに加工されたもの。(普通はステンレスは堅いので細かい細工はお金がかかりしない。)        1601はちょっと珍しいのですがベゼルがピンクゴールドで出来たものです。  何よりも気に入っているのが、ブレスレットの留め金部分がカエルの手のような王冠マークになっていることで、現行式のピシッっとしたシャープな研ぎ澄まされたデザインも悪くはないんですが、性に合わなくてほとんど身に付けたことはありません。 これとて、買い手がつけば私の物ではなくなってしまうのですが。 
 パッテック・フィリップやバセロンは素晴らしいのはわかるのですが、やはり私では分不相応で時々、それぞれのメーカーとしては、安めのやつが巡ってくる程度で、あまり詳しくもなく、OVH(分解掃除)の維持費も半端な金額ではないので、おそれ多くてお気に入りとは口が裂けても言えません。      けれどパッテック・フィリップのクンロクや複雑系のデザインは見ているだけで幸せを感じてしまいますね。 これら以外のパッテック・フィリップって、一部のアンティークものを除いて、あんまり良いデザインだと思ったことありません。 ファンの方、すいません。   

 前述させていただいたように、この世界に足を踏み入れるきっかけとなったのは、一つ前の型のオメガのコンステレーション。本当にこれを見たときはカッコイイと思いました。 クォーツのタイプだったので小ぶりなやつです。 このタイプには自動巻もあると言うことを知り、即ゲットいたしました。 珍しくゲンナマ(現金)で。 これにも又、涙無くしては語れない物語が・・・・。     

 とある外国の島(芸能人がお正月によく行くところ。)のおみやげ物屋さんで見つけました。 いくつか並んだオメガの中に何か変なオメガが一つ。  違和感あるなぁ、っと眺めていると、やっぱりこぢんまりとしたボーイズサイズのようなグッドバランスのクォーツものの間にあるとやっぱり醜いアヒルの子状態。 クォーツを見慣れている私にとってなんか不格好で、ちょっと変に思いました。 手にとって見たら、やっぱり変で裏がスケルトン、機械式のコンビのコンステレーションが・・・。 思わず叫びそうになり、「おねえさん、これちょうだい。」と言っている自分が、映画の主人公のように店の中に。 体はほてり、目は点になり本来なら値切り大好きな関西人の代表選手のような自分が、全く値切らずに買ってしまっているではありませんか。  現行のコンステレーションは機械式もクォーツ式も、はたまた機械とクォーツとの融合クロノグラフも出来たりしていますが、一つ前の型ではオートマチックのものは日本には輸入されていなくて、並行輸入のものもほとんど入っていませんでした。持っているぞー。 稀少な旧タイプの機械式コンステレーションを。   けれどバランス的には小ぶりなクォーツの方が優れているかな。 オートマ(自動巻)の方は文字盤の丸が大きくて、クォーツと比べるとちょっとマヌケ。  
 けれども不人気な車を買ったけれども、後悔しているふりは微塵も見せずに強がっているがごとくに、誰も聞いてくれないので一人で良いと決めつけて納得している意固地な自分が・・・。   

 その2年ぐらい後に仕入で行ったシンガポールの時計屋さんで、同じタイプのコンステレーションが、私が以前買った買値の1/3ほどの金額で売っているではありませんか。しまった! と思ったのも後の祭り。おまけにクロノメータの検定証なるものまでが付いていて、そのお値段。 ワンツーパンチをくらったごとくショックでした。 くそー、損を取り返すゾー、とばかりに自分の損した分を取り返す為と言う変なこじつけ理由により、またまたやりました。 買っちゃったのです。(並行輸入品として仕入れてしまいました。) 
 こちらはコンビのブレスではなく、ステンレスのブレスがついているやつです。 ブレスがステンにしても安い。芸能人が正月によく行く島で買ったやつの高いこと高いこと。 しかたがないナと諦めました。  
 そんな馬鹿なお話でした。   そんなこんなの悪戦苦闘の上に、日々勉強を重ね、より良き時計人生を歩むがごとく預貯金ゼロにもめげず、借金をしてまでも依然、時計を買い回るのでありました。


続く はず・・・。                        H.11. 8.20 FRI




VOL.8          私 の 機 械 式 腕 時 計 の 買 い 方?!

 物に生き甲斐を見つけたことがありますか。 私はあります。 『どうせお前は時計バカだから時計にだろう。』と言う声が聞こえてきそうだけれども、残念ながら答えはノーなのです。 まずは小学生のころ靴に凝りまして、おこずかいで買うわ買うわ。 当時はまだスニーカーなる言葉が日常的には使われておらず、ズックやバッシュ(バスケットボールシューズ)なるものが幅を利かせておりました。 小学校2年生の時だったと思います。 真っ黒の斬新なデザインのバッシュを買ってもらったんですよねぇー。 回りの奴らは私が初めてのことだったので、羨望のまなざしで見るわ見るわ。 上級生には いたのですが、私の学年ではまさにパイオニアでマゼランもコロンブスもびっくりと言うところでした。 しかし、私はそのバスケットシューズがある日を境にして嫌いになってしまいました。 あれほど好きだった靴だったのに。 
 見つけてしまったんですよ。 左の形が少し変だったのを。 右は芸術的に丸みを帯びた先端のゴムがごっつくちょうど爪の小爪の様な形で綺麗に弧を描いていたんですが、左はそうではなくどことは言えないんだけれどもおかしいんですよ。 それ以降あんなに愛して大切に履いていたバッシュを履かなくなりました。 履かないバッシュを来る日も来る日も眺めては、ため息ばかりついていて、母親からはなけなしの金でせっかく買ってやったのに履かなくて眺めているとはバカな子だね、となじられそんな迫害?にも耐え忍んで不出来な靴を毎日毎日眺めているのでした。     
それを皮切りにお金さえ入れば靴を買いまくったのです。 そういえばそのあたりにもう一つコレクションした物があったわけで、それはなんと絶対コレクションの対象には成り得ない、何と・・・・・・バンドエイドだったのです。 近所の薬局のおばちゃんが、また買うのかいと聞き返すほど当時あった缶のタイプの物を買いまくったのです。 これを読んで何だ馬鹿じゃないと、おおかたの人が思われることでしょうがバンドエイドを初めてみたときは、斬新で美人の清楚なナイチンゲールの様な看護婦さんに傷口のお手当をしていただいているがごとく、素晴らしいイメージがあったのです。 
 色んなタイプのバンドエイドを集めまくったのでした。 キズバンとかリバテープとか、色んな名前のものがありました。 持っているだけで幸せでした。 バンドエイドでさえ。

 ここから、時計の話しに無理矢理もどして・・・。 今の時計ファンの方と私とが決定的に違うところが、ありまして・・・。 書くと異論もあり、お叱りを受けると思いますが、あえて書きますね。

 皆さんが時計を購入するときに、よく、キズのチェックやムーブのコンディションやらを徹底的にチェックされますでしょう。 私が販売をせずにアマチュア(今も基本的には変わっていな)でいた頃は、時計は先ず外見が気に入ったら、まず、購入していました。 外見すなわち文字盤とケースの形状で決めていたと言うことでしょうかねぇ。 ちょっとくらいのキズがあろうが、ムーブが少々遅れようが、後でOVHすれば良いと高をくくって即ゲットォの日々でしたぁ。 これを逃すと二度と手に入らないかも知れないと言う、強迫観念にさいなまれながら。

 世間一般でのアンティーク時計の購入図式は、即使いたいから油の入りたてのコンディションの良い物を買うということです。 私はきかん坊が、欲しいとおもちゃさんの店先で泣いているがごとく、買うったら買う! 的な購入方法でした。 (アマチュア時)(今もレベルはアマチュア)

 兎に角、アンティーク時計は1品物で、出会った物と再会出来る保証は無いので、見て、迷ったら買うと言う構図でした。 へぇ、お金ですか? 勿論、ほとんどツケでした。 また、心の広いショップマスターさんが、カードもなく信用だけで、最高300万円近くの掛けを許してくれました。 本当に良い人でした。 コツコツ返して今では残り100万円弱まできました。 しかし、なかなか減りませんねぇ。 ども! 


      結論
 やや高価なOVH済みのアンティーク時計を、買って実用とするも良し!!

 潰れる寸前のまたは、潰れちゃった(99%は修理可能)物を安く買うも良し! 所有することに喜びを見いだせる方のみ限定。  修理すれば生き返る、その喜びもまた・・・・・!!


                                             H.12.6.某日





戻る