探索手記-10日目-

牙を持った蜥蜴はそれほどの驚異ではなく、良質の肉を切り出せた事で食糧事情は多少好転した。 …好転したのだけど、やはり手持ちの食料は少ない。一日は食事抜きで戦う事になるだろう。 砂地を歩む。ざくざくとした砂は、焼けてはいない。天井が朽ちて太陽が覗いているものの、日差しがきつい訳でもないので当たり前だ。 もし砂漠のように日差しが強かったならば、陽光対策をしていない私はかなり厳しい道行きとなるのは目に見えている。 陽光によって障害を負うわけではないが──尤も、人間程度の「火傷」は起こすけれど──、陽光自体が私にとっては極めて眩しく、強いそれは視界を奪うという事になりかねない。 そう考えると、この「遺跡」というロケーションは私向けなのだろう。 …それでも、昼間の陽光は眩しい。何か対策を取ろうか。 大乱戦が行われた。 今回は綿密な作戦を立てて臨んだのだけど、ちょっとしたミスで全てが台無しになり一回戦負け。 これが大乱戦のような訓練で本当に良かったと思う。 手持ちのカードを全て把握しておかなくては、作戦など立てようがない。 今後、強敵が控えている事が解っている。このような失敗はしないようにしなくてはね。 噂によると、古代にあった大浴場の跡地が発掘されたらしい。 跡地とはいえ、勿論お湯さえあれば浴場として使う事が出来るとか。 早速行ってみたけれど、遠目に見ただけでも30人以上居たので大盛況。 あまり話はできなかったけれど、場所は覚えたのでまた行ってみようと思う。 …混浴だったようなので、次は水着を用意して。浴場なのにお湯に浸かれないのは、少々寂しい。 それにしても、改めてこの島には色々な人がいるものだと思った。 この日記帳にも、浴場跡で出会った方々へのメモをつけるべきだろうか。 …そういえば、他のメンバーはパーティメンバーの覚書のようなものを書いていた。 幸い、パーティメンバーについては必要ないけれど、そのくらいしなくては出会った人々を覚えきる事はできないだろう。 早速今日からメモを書くことにする。 ところで、蟻の肉って食べられたっけ? *浴場跡で出逢った人メモ・その1* ホマレ・ロホさん(E-no.1378) 溢れる男気とそれに見合った肉体を持っている人。 男らしい、というのはこの人の事を言うのだろう。 きっとこの人がお父さんだったら、子供は強く真直ぐに育つと思う。

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