探索手記-13日目-

短剣での新技調査は上々だった。  なかなか当たらないと思っていたがそんな事はなく、3回の模擬戦闘を含めても10回近く当てる事に成功した。  直接的なダメージは魔法に比べ相当落ちるのだが(何しろ、二連撃が両方当たらないと簡易魔法のそれに追いつく事が出来ないのだ)、それに付随する効果が大きい。  相手の魔法攻撃力、それに魔法防御力を奪い取る。まさに「マジックドレイン」の名に相応しい。  ただし大きな問題がある。短剣装備中は魔石を使用する事が出来ないのだ。  普段、私は魔石をアクセサリとして身に付けている。そのまま使用する事はできるが、その場合はあくまでも擬似的な効果しか得る事ができない。  「魔石」としての効果を得る為には相応の集中力が必要であり、またその際は短剣のような「手に持っているもの」が邪魔になってしまう。  つまり、マジックミサイルなどの魔石を媒介とする魔法が使えなくなるという事だ。  これは私にとって大きな痛手となる。ふぃーちゃん(E-no.173)のようにイビルボムを扱う事ができればまた事情は違ってくるのだけど…  いずれにしろ、今の私ではこの技は使いこなせないだろう。使いこなす為の手札が少なすぎる。  主力になりそうな魔法は悉く魔石を媒介とせねばならず、魔石を媒介としなくてもいい魔法は主力にするには少々心許ない。  そろそろ訓練の方向性を考えなければいけないだろうか。  確か、探索者の修得している魔法の一覧があった筈だ。取り寄せてみよう。  探索者の情報を眺めていたら、見慣れない付与効果を見つけた。  「召喚印」というそれは、私の所属する壬生研の学生(?)が持っていた。  恐らく戦闘効果だろうと考え、戦闘経過を確認する。召喚物の攻撃・防御・魔法攻撃・魔法防御が一挙に上昇する…非常に大きな効果だ。  経歴を洗うと、合成で作成されたものらしい。防御Lv0という初期効果に、青い宝石から得られる凍結Lv1を組み合わせる事で得られるようだ。  私の手持ちに防御Lv0は無い。どうすれば得る事ができるだろうかと、合成パターンを様々にシミュレートし、調べる。  その結果、非常に手間ながらも私の手持ちアイテムをベースにすればどうにか作る事ができる事が判明した。  但し、そのためには計3回の合成と計3回の魔石作成が必要になる。非常に大規模な作業。  魔石作成は今日終わらせた。あとは明日十四日目、アーヴィンさんとナミサさんに協力を仰いで合成するだけだ。  無事これが済めば、クリムゾンウィング戦で実用する事ができるだろう。  私の戦力の半分を担う召喚物。彼ら、彼女らも相応に強化しなくては今後の探索をスムーズ進める事は出来ない。  無事、成功するといいのだけど。

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