探索12日目

蟻が多い。 奴らは群れでやってくるものだが、どうもこちらに引き寄せられているようにも思えたので 改めてその原因を探ってみた。いつまでも蟻にたかられるのもうんざりだからだ。 二番隊の荷物や食糧等を丹念に調べてみたが特にそれらしきものは見つからず。 一通り調べ終わり、一息ついたところで俺は、それに気付いた。 ―――アルクリーフ。 歩行雑草の、少女。その側頭部には柔らかい食用にも適した葉が茂っている。 ヒトのカタチをしているせいで時々忘れかける時も在るが、れっきとした植物だ。 そして、その葉の裏に、奴らは潜んでいた。 ……そう、アリマキ(アブラムシ)だ。 盲点だった。巨大蟻は、こいつらの蜜に呼び寄せられていたのだ。 サイズ比はともかく、結局のところはアリマキと蟻なのだということか。 へらで大雑把にはたき落とし、除虫菊から抽出したピレスロイドの溶液を霧吹きで軽く吹き付けておいた。 薄めた牛乳辺りで手軽に安全に済ませたかったのだがそんな手持ちも余裕は今は無く。 その間、アルクは少しくすぐったそうにしていたが、ひとまず、すっきりはしたらしい。 たかがアリマキ、とはいえ奴らはウイルスを媒介することもある。アルクにとってそれは恐らく危険な事象で。 ……こまめにケアしてやらないといかんか、これは。 なんだかまた一つ、仕事が増えた気がした。 仲間の健康管理は俺の担当でもあるのでべつに増えてないとも言う。 まぁ、植物の世話は趣味みたいなものだから構わんのだが。 これからはその辺りの用意もきちんとしておかなくてはいけないな……。 ----------------------------------- ビヴァーク地点で軽くフォウトと話をした。 寝付きがいまいち悪かったのだ。或は、アーヴィンのいびきのせいか。 寝ていても騒々しい男だ。 昔の話、噂の事、この島に来た目的。 そう、俺には目的があるのだ。七つの宝玉がそれを示すか否かはわからない。 だが現状で他にアテも無く。 出来得るなら、この島でなにか手掛りを得て、それを持ち帰らなければいけない。 この心地良い居場所につい、その事を忘れかけてしまいそうな時もある。 投げ出してこのまま目を背けられたらどんなに楽なことだろうか。 ―――だが、それは許されないことだ。 俺が、許さない。

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