探索22日目

22日目。 咲き誇る桜の樹の下で。 花見日和だということで気晴らしに花見に行くことになった。 夜桜もいいが、昼の桜も見ておきたい、ということで。 各自で持ち寄って集まる、ということになっていたので適当につまみと酒を 用意して現地へと赴いた。 他に必要なものはそれぞれ持ってくるだろう、ということで。 普段、肩を並べている連中だがこういうオフの日の探索とは無縁な装いというのも 多少は新鮮なものがある。いつもと大差の無い作務衣な俺は置いておくとして。 ……アルクも髪飾りにしている花以外はいつもと変化は無い。除外。 フォウトが。 なんと言ったものか。見違えた、と言えばいいのか。 見慣れぬ民族衣装に身を包んだその姿は普段の戦装束とあまりに違っていて。 つい、誰かと一瞬思ってしまった。声をかけたがその声もおそらく自信がなく聞こえたと思う。 こんなことを言うと失礼かもしれんが変われば変わるものだとしみじみ思ってしまった。 ……女は化ける、というのはこういう時に使うのだろうか。 しかし、セレナはよくあんなもので酔えるものだな。 夜の眷属に対する特殊効果でもあるのか、アレは? 謎は深まる。 こうして、春の木漏れ日の中で終始陽気に騒いでいる姿を見ていると とても吸血鬼だとは思えない。人間ではない、ということをよく忘れかけるが。 まあ、面倒が無いので良いが。 咲き誇る桜を愛で、酒を味わい、翼を休める。 心地良い春の微睡みの中、ただ穏やかに時が過ぎていった。 血腥さとは無縁な、ただ―――穏やかな、時間。

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