パスタ皿に盛り付けられている大きなプリン。 それは普通のプリンより遥かに大きい限定品ということだ。 せっかくなので計ってみたプリンの容量は400g。とても幸せな気分になれる。そんな気がした。 こんな大きなプリンが毎日毎日出てくるといいなぁ…。 …まぁ、そんな夢をみた。 そもそもだ。実際、400gもプリンがあったら食べるのに後々苦労するのではないだろうか。 普通のプリンの2.3倍もあるというのにそれだけ食べたら、たぶん夕ご飯は要らない。 と、いうより毎日それを食べたら間違いなく太るのではないかと。 それとも思いっきり食べて、後ほどダイエット期間を2週間限定で食事制限をしているのだろうか。1日1食。 あー。まぁ、いいか…。 さて、この日は遺跡外でのんびりしつつ、買い足しの日。 こんな日にはモンスターレポートなんてものは存在しない。 遺跡外にもモンスターがわさわさ出てこられたら非常に迷惑だ。せっかくのバカンスだというのに。 はい、今日はこんな感じですよ。おしまいおしまい。 (*ナミサの日記〜9日目抜粋) ─ん? おや、通信が……?? 「ナミサ、聞こえますか?」 えー……;; 今、通信しているこの声は実家にいる姉のものだ。 姉は魔法騎士としてかつて別な地域を探索していたらしい。 何の為に探索していたかは教えてくれなかったが……まぁ、これは次の機会に話すとしてだ。 「単刀直入に申しあげます。遺跡の報告書のレポートは再提出を求めます。」 改めて説明するが、私のプロフィールを見てもらいたい。 確か家を飛び出して云々とは書いてあるが、それは決して表向きの理由ではない。 たとえ経緯はどうあれ、私は遺跡と謎の手紙の出所の調査と言う名目で遺跡を来ることを許されているのが実情。 だから、毎日毎日レポート風味に書いてあったのは、こうやって定期的に調査を報告しないといけなかったという事情がある。 ほら、毎日毎日書いておけば提出用のレポート作成する時に その内容をそのまま(手直し無し)で送ればいいじゃないか。 私って…頭いいだろ? 直前で徹夜なぞしたくないからな……って、再提出があるって話は聞いてないぞ? 「別にミミズの漢字の読み方とかHPの意味とかはいいのです。それは貴方の勉強不足ですから。  肝心の内容がありません。そもそもどのくらいの規模の遺跡なのかそういったものの記述がされていません。」 ……あー。そういえばそういうの書くの忘れていたな。 はっはっはー…って笑ったら説教時間が長くなるのは確実。思わず溜息をつきたくなる。 そして耳が痛い。これでは家にいるのと全く変わらないじゃないか。 「それから毒蠍の毒の意味も解説する必要がありますか? 不勉強にも程があります。」 え? これってひょっとして常識なのか? とか言ったらきっと説教になるな。黙っておこう。 ……って、あまりに無反応なのはまずいか。えーとだな。 「あー、そのー。イヤ、大丈夫デスヨ、心優シイヒトガオシエテクレタカラ」  「ホラ、毒ヲ持ッテ毒ヲ制スルッテイウジャナイカ。ソウイウコトデ。」 カクカクカクカク。……ふぅ。あー、びっくりした。 うん、これで大丈夫だ。上手く切り抜けたっ。大丈夫。そんなものあとで調べればいいんだしな。 「……嘘ついているのわかりますよ? わかっていませんね」 な、なんでー? えー? 蠍の毒って何がいけなかったのか。そんなに致命的なミス? 毒をもって毒を制するの例えを出したのはいけなかったのか? いや、意味しらないけどっ。なんか毒を使った言葉があるしこんな感じでいいんじゃないのかー? 「こんな事を知られたらどうなるかわかるでしょう? そもそもですね。クィンテット家の一員であろうものが(以下略」 せっかくの休みだからどうしても説教だけは避けたかったが、 もはやこの雲行きではいかなる弁明をしても無駄…だろうな。 ああ、こんなに空は晴れているというのに。何が悲しくて説教を受けないといけないのか。 しかもわざわざ通信魔法で説教するような内容か? もうね。わからない。 電気……ではなかった。魔力の無駄使いにしか思えないのだがどうなのか、そのあたり。 美味しいプリンがあるよーとか、あのお店のショコラケーキはビターっぽくていいよーとか。 そっちを語りあう方がよっぽど有意義なのだが。何故それに気づかない……気づかないよなぁ…。 ……ああ、集合の時間はまだか;; (*遺跡調査報告会1回目通信記録から一部抜粋)

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