探索9日目

……新しいお友達は、すぐにできた。大きなコオロギ。 代わりだなんて思ったら、両方に失礼だから。 わたしはあの子のことを忘れないために、そしてあの子を天国に送ってあげるために、遺跡の外に小さなお墓を作った。 わたしたちはまた、遺跡の冒険に戻らなきゃならないから。 ここで、お別れ。 もう、心配しないでね。そして……生まれ変われたら、また会おうね。 新しい冒険は、この前は途中で引き返すことになった砂地の探索。 そして……その先にいるらしい、紅の翼を持つ怪物との戦い。 遠くから見るだけでも、これまでの相手とは全然違う強さを持ってることがわかる。 ……本当に、わたしたちはあの怪物に勝てるのかな。 でも、今すぐに戦うわけじゃない。いろいろ考えて、準備する時間はたっぷりある。 がんばろう。やれるだけの事を全部やれば……きっと、勝てる。 わたしだって、パパとママの子なんだから。 まずは、目の前を塞ぐアリとトカゲに……勝たなきゃね。 ---------- 【覚え書き・その4】アーヴィングさん 赤毛のお兄さん。髭のおじさんと同じくらい強い人。 おじさんよりも表情はよく変わる。性格も明るくて、他のみんなとは上手くやってるみたい。 でも、なんかこの人からは「いっぴきおおかみ」のにおいがする。誰の邪魔もしない、その代わり誰にも邪魔はさせない。 口には絶対出さないけど、わたしみたいな頭の良くない子はお荷物と思われてるかもしれない。 ---------- 物覚えの悪いわたしのために、せめてメンバーの名前だけは覚えさせようと 植物…… アルクリーフさんが名札を作ってくれた。 そのおかげもあって、毎日朝と寝る前に全員の名前を10回ずつ言うようにしたら 8人の仲間の名前はだいたい言えるようになった。 砂漠に出る前に、新しくお友達になったコオロギくんも名札をつけてもらったみたい。 名札には……「エニシダさん」と書かれていた。 おじさんとおんなじ名前なんだね。覚えやすくてとっても助かる!

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