STEI'96

1996年滋賀県高体連登山部

チベット学術登山隊
             

登 攀 隊 の 記 録


ツァンラU峰(6180m)初登頂

 登攀隊12名(シェルパ3名)はカトマンズから陸路グレートヒマラヤを越 えてチベットに入った。
 グレートヒマラヤとヤルツァンポー川に挟まれた、ラゴイカンリ山群の西端 にツァンラ山系に位置する。鋭くとがった屋根型のツァンラT峰、その北稜から 続くツァンラU峰は雪に覆われた柔和な山様である。このツァン地方ではT峰は 男神、U峰は女神にたとえられる。東稜からT峰をめざしたが、40mを越す垂 壁3段にはばまれ、ついに断念。U峰をめざすことにした。
                        

通信の丘を超えてC1へ

ベースキャンプの北側に広がる、広い扇状地性の台地の端が通信の丘だ。ここ からツァンラ南東カール底のC1までは4時間コースだ。昨夜の薄雪に覆われた ツァンラT峰が朝日に輝いてまぶしい。いよいよU峰アタックのためにC1に向 かう。

タルチョ山の稜線から見たツァンラU峰

ツァンラT峰の東稜はタルチョ山から二つの稜線に分かれる。C1からU峰へ はこの2本の稜線を越えて行かねばならない。タルチョ山北東稜から見たツァン ラU峰。その姿は我が故郷の山”伊吹山”に似て、T峰に比べれば柔和な山様を 見せるが、山頂付近は氷河と雪に覆われている。

ツァンラ南東カール壁を登る

C1からC2へ行くのにはタルチョ山の北東・南東稜を越えて行かねばならな い。まずは足場の悪い、カール壁を呼吸を整えて、一歩〃〃登る。アタック隊7 人分の共同装備はC1支援隊で北東稜まで荷揚げする。

C2予定地ツァンラ北東カール底に降りる

C2はツァンラ北東カール底に建設する。ここからはアタック隊7人による、 アルペンスタイルで挑む。2泊分の装備を持って、200mの絶壁をアプザイレ ンで斜めに下降する。大きな落石がザイルを切ってしまったが、幸い隊員は下降 中ではなかった。

ツァンラU峰北氷河を登る

C2からU峰へは北稜をたどることにする。北側にはくちばしのように延びた 氷河があり、ランドサット画像でも確認できていた。Fixロープを張りながら 、慎重に登る。

ツァンラU峰山頂直下

北氷河の端を詰め、ようやく北稜の上部の急登にかかる、数歩歩いては、深呼 吸。息を整え、また歩く、山頂が少しずつ近くなる。

ツァンラU峰初登頂


登攀隊4名(澤山・藤永・青木・小林)とシェルパ3名が
1996年8月6日13:15、ついに未踏のツァンラU峰の登頂に成功した 。あいにくガスの中、小雪混じりで視界は不良。

C1での初登頂祝

8月6日アタック隊の登頂支援のため、タルチョ山北東稜まで、無線通信に出 ていた山村・井上・五十子がC1に帰ると、北村・片岡・佐野が登頂記念の雪だ るまを作って待っていた。C1支援隊全員で初登頂を祝って記念撮影。

C1から見たグレートヒマラヤとチョモランマ

C1から、天気が良い日の夜明け前や、夕方、南東の方向にチョモランマやロ ーツェ、チョユウなどの8000m級の山々を望むことができた。特にチョモラ ンマの北稜が見事な姿を見せてくれた。

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