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精神保健福祉協会だより 編集後記 抜粋

 第39号(2010.3.31)

編集後記

◆お彼岸を過ぎてから、ことのほか寒い日が続きました。寒暖の差が大きく、体調の管理に苦労された方も多かったのではないでしょうか。2月までの陽気で咲き急いだ桜が、その勢いのまま開花してしまったものの、この寒さでとまどっているように思えます。おかげで花見の期間は例年より長くなりそうだとのことです。

◆アメリカ上院で医療保険制度改革法案が3/21ようやく可決されました。アメリカでは国民皆保険制度がなく、4千万人を超える人達が無保険状態でしたが、これでようやく国民の9割が保険に入れることになったそうです。中低所得者に様々な補助をおこなって保険加入を義務づけ、保険会社にも加入拒否ができないよう規制を行うらしい。自己責任を重視するアメリカでは、社会主義化に繋がるという批判も根強いそうです。

◆日本では国民皆保険制度が当たり前のように定着していますので、このようなアメリカのドタバタは理解しにくいですが、逆に日本の国民皆保険制度の良さが際立ちます。日本の医療保険制度の特徴は、国民皆保険、現物給付、フリーアクセスなどです。つまり保険証一枚で、全国どこの医療機関でもかかることができ、現物給付(医療サービス)を受けることができます。しかも自由開業医制度のもとで緩やかな競争原理が働いていますので、極めて低コストで優秀な専門性を確保しています。

◆進行する医療崩壊が、政権交代によってくい止めることが出来るかも知れないと、少しは期待をしてH22年度診療報酬改定を見守りましたが残念でした。あるべき医療の姿を論じることはなく、財源論に終始しました。財務省の設定した枠の中で、外来医療を削って入院医療に充てるというおそまつ。勤務医と開業医を対立させ、勤務医のみならず開業医の医療崩壊も進める内容ですっかり幻滅です。

◆子ども虐待のニュースが連日のように新聞紙面をにぎわしています。私たちの社会の抱える貧困や孤立が、子育てを巡るイライラや不安感を増殖させているように思います。子育ては社会全体の責任であるとして提案された、子ども手当法案が3/29に可決されました。子育て世代に安心や余裕を与えることができると良いのですが。複雑な要因のからみあった児童虐待という社会現象を医療の枠の中でのみ語るのは危険ですが、虐待する側、虐待される側双方における病気や障害について、精神科医療の果たす役割は大きいと思います。

(滋賀県精神神経科診療所協会 上ノ山)




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