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精神保健福祉協会だより 編集後記 抜粋 第64号(2020.1.1)

◆令和2年明けましておめでとうございます。昨年5月に新天皇が即位され、代替わりの儀式や行事が続きました。日付をRから書き始めるのに漸く慣れてきたところです。NHKの皇室に関する意識調査では親しみを感じる国民が71%にのぼったそうです。平成の時代には、現上皇が戦地慰霊の旅や被災地訪問などを通して、国民に寄り添う姿勢を強く示し、象徴としての天皇像を示されたことが国民との距離を縮めたように思います。新天皇も象徴としての責務を引き継がれる姿勢を示されました。即位を祝う国民の祝典では嵐の奉祝曲を聴きながら、パレードでは沿道の人々の歓迎を受けながら、雅子皇后が涙を拭う仕草が印象的でした。長らく病気療養をされたがゆえに、雅子様の胸に様々な思いが去来したのかも知れません。

◆昨年も大きな自然災害が続きました。9月の台風15号は記録的な強風による被害が拡大し、千葉県では長期の停電をきたしました。その1ヵ月後の台風19号は、記録的な大雨となり、多摩川、信濃川、阿武隈川などといった有名河川が氾濫し多くの死傷者がでました。台風をはじめとした自然災害の深刻さの原因として地球温暖化があげられています。スエーデンの16歳グレタ・トゥーンベリさんは「未来のための金曜日」として学校を休んで気候変動への危機意識を訴えました。あまりにストレートな物言いには驚かされましたが、米誌タイムは「今年の人」に選んでいます。彼女はアスペルガー障害であることを公表しており、アスペルガーでなかったらこのように立ち上がれなかったとのことです。

◆9月に開催されたラグビーワールドカップ日本大会は社会現象といえるほどの盛り上がりをみせました。日本代表は一次リーグを全勝で勝ち抜き決勝トーナメントに進出。優勝した南アフリカに敗れて、ベスト8で終わりましたが、その勇気ある戦いぶりで、多くのにわかファンを生み、ジャッカルやオフロードパスなどの専門用語が日常に浸透しました。多くの外国人選手が「ワンチーム」になって、目標に向かって力を合わせる姿は感動的でした。応援する人々も敵味方入り混じって応援し合う。観戦する人は国家を歌って励まし、試合が終われば選手たちは客席に向かって礼をする。激しいコンタクトプレイが続いてもディシプリン(規律)が尊重される。試合が終わればノーサイドでたたえ合う。今回のワールドカップが、スポーツ文化に残した影響は大きいと思います。

◆政府は成長戦略の目玉として、カジノを含むIR実施を前のめりに進めてきました。2016年12月に特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(通称IR推進法)、2018年7月に通称IR整備法が成立しました。同時にギャンブル等依存症対策基本法も成立しました。ギャンブルは依存症やそれにともなう家族崩壊などをもたらす可能性があるため、自治体等に対策計画策定を求めています。ギャンブル(賭博)は刑法で定められた立派な犯罪ですが、わが国では競馬、競艇、競輪、オートレース等の公営ギャンブルは認められてきました。これまで遊戯として除外されてきたパチンコも「ギャンブル等」として依存症対策の中に位置づけられましたが、我が国ではギャンブル依存症対策は極めて不十分だったことは否めません。このような中でカジノ推進には不安があります。

(滋賀県精神科診療所協会 上ノ山)




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