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精神保健福祉協会だより 編集後記 抜粋 第65号(2021.1.1)

◆令和3年明けましておめでとうございます。令和2年は新型コロナの感染拡大によって私たちの生活は大きな影響を受けました。密閉、密集、密接の「3蜜」を回避し、ソーシャルディスタンスを確保するなどといった新しい生活様式に戸惑った1年でした。4月には緊急事態が宣言され、不要不急の外出を控え、自粛生活を要請されました。精神保健医療福祉の領域は、対人接触が基本ですので、その影響は大きく、新しい生活様式を意識しながら、サービスの質を確保していく必要があり、ストレスの大きい日々でした。

◆一方、対人恐怖症状でコロナ以前からマスクを手離せなかった人の中には、マスクが日常になり、外出し易くなった方もいました。長らく引き込もり生活を続けていた青年は、まわりの皆が引き込もることが当たり前になってホッとしておられました。継続して就労支援に参加できなかった人は在宅ワークの提案を受け入れて、一歩踏み出しておられます。出勤しては不適応を起こしていた人は、テレワークの拡大で自信を回復されました。ポストコロナの時代に向けて、新しいコミュニケーションの可能性を模索していく必要があります。

◆そのような中でも、明るい話題をいくつか。2016年に14歳2ヵ月の史上最年少で中学生棋士となり、すでに将棋界のスーパースターとなっている藤井聡太さんは、2020年にはさらに圧倒的な強さを披露しました。7月には渡辺明棋聖(現在の名人)を下し、17歳11ヵ月のタイトル獲得最年少記録を達成し、8月には木村一基王位を下し、史上最年少2冠となりました。AIを使った将棋ソフトで6億回読んで初めて浮かび上がる手で勝利し、観戦記者の度肝を抜きました。その上に「今はAIとの対決でなく、共存の時代」とさらりと述べて、人間の可能性について大いに勇気づけてくれました。

◆12月には小惑星探査機「はやぶさ2」が6年間にわたる宇宙の旅を終え、そのカプセルを地球に送り届けました。「はやぶさ2」は小惑星「りゅうぐう」に着陸し、人工クレーターを作るなどして、小惑星内部の物質をカプセルに閉じ込めて持ち帰ることに成功したようです。私たち地球の生命の由来や太陽系の起源に迫る可能性のあるとのことで大殊勲です。日本の宇宙技術力の高さに感動するとともに、コロナ禍や差別、分断、紛争の続く地球を離れて遠い宇宙に思いをはせる機会になりました。

◆現在、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会が開催されています。平成29年9月衆議院解散で廃案となって以降、精神保健福祉法改正の動きは停滞していましたが、ここにきてようやく動き出しています。精神障害にも対応した地域ケアシステムと言いながら、その責任主体が不明確でした。介護保険を含めて、さまざまな対人サービスの一次的な責任は市町村です。来るべき法改正では、市町村の責任を明確にするとともに、介護保険で認められている地域ケア会議を精神障害にも制度化すべきと思います。そのことが、地域に責任を持ち、住民のさまざまな精神的危機に対応するコミュニティメンタルヘルスチームの立ち上げにつながることを期待したいと思います。

(滋賀県精神科診療所協会 上ノ山)




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