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精神保健福祉協会だより 編集後記 抜粋 第66号(2021.12.24)

◆2020年初頭からコロナ禍に明け暮れた2年間でした。7月には1年遅れの東京オリンピック2020が開催されました。第5波の感染拡大がみられるなか、オリンピックの延期や中止を求める声は強くなっていました。政府は4度目の緊急事態宣言を発出し、開催2週間前にようやく無観客と決めて決行しました。第4波では医療がひっ迫し、大阪府の患者を滋賀県で受け入れるという事態もありました。人口当たりの病床数は世界一なのに、入院できない。医療先進国と自慢していたのに、ワクチンが手に入らない。検査も簡単に受けれない。こうした事態に明快な説明はなく、感染者数が発表されるだけで、不安が増幅される日々が続きました。結果的にオリンピックによる感染拡大はみられなかったようです。

◆開催ありきの政府の姿勢に疑問を感じつつも、いざ開催されるとそれに多くの感動がありました。とりわけ彦根市出身の大橋悠依さんが、女子競泳400メートルと200メートル個人メドレーの2種目で金メダルを獲得しました。女子で夏季オリンピック2冠は初めてのことです。しなやかな手足で水上をすべるように泳ぐ姿勢は、素人目にも美しくみえます。幼稚園からスイミングスクールで学んだことが基礎になっていると思われます。彦根イトマンに通う子供たちも鼻高々です。続いて開催されたパラリンピックではボッチャが面白かったです。手足が不自由でも楽しめるスポーツですが、その戦略性と金メダルの杉村選手のライジングなどの技術が見所でした。今後、デイケアなどでも楽しめると思います。

◆コロナ禍で不安で苦しい日々が続きましたが、アスリートの活躍で励まされることも多かったです。大リーグ4年目となる大谷翔平選手は2刀流を花開かせ、年間を通じて大活躍でした。7月のMLBオールスターでは投打で同時出場し、勝利投手になりました。最終戦では46号ホームランを打ち100打点に到達しました。惜しくも1本差でホームラン王は逃しましたが、投手として130回1/3、156奪三振、打者として138安打、103得点を加えた投打5部門の数字を100に乗せる「クインタプル100」を史上初めて達成し、アメリカンリーグのMVPにえらばれました。2001年にイチローが大リーグ1年目に大活躍して受賞して以来、20年ぶりです。イチローでもなしえなかった満票での受賞でした。

◆将棋の藤井聡太さんは今年も快進撃を続けました。11月には豊島将之竜王を4連勝で破り、竜王を獲得。王位・叡王・棋聖と合わせて、史上最年少での四冠となりました。19歳で名実ともに現役棋士の中で序列1位となりました。16歳で史上最年少棋士となって以降、数々の最年少記録を打ち立てています。2020年度まで4年連続で勝率が8割を超えており、2021年度も勝率8割超えが確実な様相です。数々のタイトル戦をこなしながらの成績なので驚くほかありません。時には2日間10時間以上も盤面を介して対局者が対峙し思考を巡らせます。まさに盤上のアスリートです。あるひきこもり青年は、ネット中継で動かない盤面を一日中眺めながら感動しているとのことです。

(滋賀県精神科診療所協会 上ノ山)




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