五行説 T

五行説 T


 いままでの自然の話や陰陽の話は、大体の内容を概略ながら理解していただけたと思います。これからは、東洋医学の核心に入ります。その中の五行説からいきますが、この五行説が分からないと真の東洋医学が理解されずに終わってしまいますし、理解していただけると漢方医の能力を修得したことと同じになり、養生法や病気の予防、病気になっている人は快復のアドバイスになります。

 現在、自分の悩んでいる症状がきっと分かるようになることでしょう。しかし、難しい理論が出てきたり、長い内容ですので、疑問を持たずにそのまま受け取って理解して下さい。

 古代の中国では、陰と陽の2つに相対する考えで発想してきましたが、その後になって二極では応じきれない現象や物質を5つの要素に区別した方が理解しやすいと気づき、発達してきた理論です。季節にはご存じの通り、春、夏、秋、冬の四季節があります。暦を見るとその季節の入る前には、立春、立夏、立秋、立冬が必ずあり、その前18日間を土用と呼びます。秋の立秋前の18日間7月22日頃から8月7日頃が夏の土用で、皆さんよくご存じだと思います。このように土用は年に4回あり、春夏秋冬と土用を合わせて1年を5つの季に分けて、自然の働きと実際の陰陽を調和させたのです。ちなみに土用の季節18日間がその季節の特徴を最も持っています。1月16日頃から2月3日頃が冬を最も感じる時期です。冬から春に移行する時なので、陽気が余計に必要となり、身体が疲れやすい時期でもあるのです。特に、夏の土用はウナギを食べて、体力を付けるところは、先人の生活の知恵であるとも言えます。

 このように土用を上手に利用して5つの型にはめることで、5つの特色と5つの作用でそれぞれが納得できる説明がついているのです。これを古代から「五行説」として伝えられているのです。また、先の陰陽論と合わせて「陰陽五行説」とも言われています。5つの星である「木、火、土、金、水」と陰陽の「月、日」で表せられ、これが一週間の暦になるのです。古代の時すでに、私たちが毎日利用している生活暦が出来ていたことを考えると偉大さに気づいていただけると思います。先ほどの季節を五行に分けると春は「木」、夏は「火」、秋は「金」、冬は「水」、土用は「土」になります。

 この中から春について述べますと、春は、森羅万象、陽気も多くなり、樹木、草木の芽が発芽し、元気が出る季節でもあります。身体の内蔵をこの春(木)の性質を当てはめててみると「肝」の働く機能と作用が合致します。ただ、ここで言います肝や今後出てくる心、腎などの臓は、私たちが日常的に知っている内蔵でありながら、西洋医学の働きと東洋医学の働きと考え方が少し違っていますので、間違えのないようにお願いしたいと思います。次回、この点についても説明させていただきます。


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