五行説 W

五行説 W


 肺の働きは、なかなか捉えることがなく、しかも呼吸が止まれば死に至るという分かっていることがあっても、日常生活にはあまり気にしない内臓でもあります。もう少し詳しく説明しますと私たちの体温は、普通36度5分前後で平均となっています。34度とか38度は日常あまり聞いたことがないと思います。この平均体温を維持してくれているのが、肺の作用です。肺から出た陽気が、体内や体表を巡ります。皮膚上の温度が下がれば、皮膚面が閉じ、体温が上がると皮膚面が開いて、汗を出すことにより、体温の保持をしてくれています。冬に0度に近い寒い気温の中や熱い夏に30度以上の高温で生活している人の体温も大体同じ状態であるのは、肺の陽気が体内をしっかりと巡っている証拠なのです。

 例えば、熱いお茶はすぐには飲めませんが、少し経つと飲める状態になりますし、もっと置いておくと微温湯になってきます。これは、お茶碗の中で温気が発散していて、巡っていないからこのようになるわけです。体内に置いては、このような巡る働きを肺がしてくれているのです。血行が悪いと思われますが、血液だけでは巡らないのです。

 前に説明しました「気」が血液の働きを助けることにより、はじめて巡るようになるのです。当然、その時の血液そのものがドロドロ状でなく、サラサラ状であることは、大原則となっています。私たちが日夜その為に各マスコミや健康に関する書籍などを読んで、健康でいられるかは、人間本来の生命欲に熱心になっているのが私たち人類の宿命であると思われます。

 最後に「水」です。この水は、地中の深くにも必ず存在しますし、自然界では水がなければ育つことが出来ません。生活には、絶対に欠かすことが出来ないのです。この重要な作用を体内では、腎臓が関係しています。寒く、静かで、沈んでいる「水」は、陰の性格を持ち、季節では冬に当たります。春「木」、夏「火」、秋「金」、冬「水」となり、各季節の間に土用の「土」が入ります。腎の働きは、内臓では、あまり派手でなく、地味な存在ですが、一番大切な生命の根源に関係している臓器なのです。健康で、生活していきたい方々は、この腎の作用を知っていただき、養生の基礎にして下さい。

 腎は静かですから、人間の生活も静かにして、陽気の発散をしないようにして、大切なエネルギーを消耗させないことです。自然界の樹木は秋になって、葉を落とし、枝も縮み、木の生長を少なくすることによって、発散を防ぎ根に養分を貯め込むのです。それは、やがて来る春のために体力を養っているのです。ですから、私たちも同じような生活をすればいいのです。古代では、冬は家の中でワラ仕事や針仕事などを行い、体力の消耗をカバーして暮らしてきました。しかし、現代社会は24時間動き、昼夜関係なく、夏も冬も関係なく活動しています。最近、老齢になると原因不明の病気や症状を訴える方が増え、現代病の一つとなって多くの方々に不安をもたらしているのは、このような生活が関係しているとも考えられます。


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