相生T(新しく生まれる関係)

相生T(新しく生まれる関係)


 いままで、自然界、陰陽、五行論そして各内蔵の働きの一部を理解していただきました。大体の働きが都合良く説明されているので、こじつけではないか? と思われている方がおられるかも知れませんが、次の相生(そうせい)という作用が分かるといままでの疑問も解けることと思います。

 相生とは、相助け合っていく、親から子供が産まれるように、次のものに移るシステムの話です。以前、五行論で木、火、土、金、水と呼ばれている中で、各内蔵に関する話と春、夏、秋、冬、土用の季節の概要も説明しました。これは、適当に付けたものではなく、天にある星の色を基に付けたのです。青色の木星。赤色の火星。黄色の土星。白っぽい金星。黒っぽい水星から引用しました。自然界を例にこの相生関係を説明しますと自然界で「木」は大きく育ちます。この木は自然に発火したり、身近で薪を燃やすと「火」が出ます。木が燃えると灰となり、「土」に戻ります。その地中からは「金」属物質が産出されて、その物質のある近くから地下「水」が多く滲み出てきます。そしてこの水は、「木」を育てるというように循環しています。また、海や陸地の水が蒸発して天に昇り、雲から雨となって降ると作物を育て、その作物を動物が食べて、動物が死ぬと土となり、土から水が蒸発するというように、次から次へと姿が変わりながら役に立ち、戻ってくるような関係を相生といいます。

 これを身体の働きに照らしますと胃腸で造られた血液やエネルギーは、まず「肝臓」に運ばれ貯えられ、必要に応じて「心臓」の力(ポンプ)を借りて、全身へ運ばれます。その血液の一部は、「胃」へ送られて胃腸は機能よく働けるのです。胃がしっかりと働いて陽気のエネルギーを大量に生産すると「肺」にもエネルギーが送られます。肺は全身の体温調整を行い、冷えないように大切な働きをしています。寒いときは、皮膚面が閉じて寒さを守り、熱いときは皮膚面が開いて、汗を出し、体温上昇を防ぎます。この調整を行うのは「肺」の働きです。そして身体が冷えないように体内に巡る助けを肺が行っているので、冬でも体温を維持できるのです。「腎」は、水の中に浸かっている状態にあります。水が多くなりすぎると「陰の気」が増えて、特に下半身に冷えを訴えます。この腎臓の水が肝(木)を育てる働きをするわけです。冬の間に、陽気(エネルギー)を使いすぎないで、春の活動のために準備するためにも腎の性格と働く作用をよく知ることは健康でいるための大事な基本です。

 このような循環をくどいようですが、相生関係といい東洋医学にとっては大変重要な理論なのです。日常生活にも応用できるものなので、しっかり理解して下さい。


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