五臓のまとめ U

五臓のまとめ U


 引き続きまして、心の感情について説明します。心の感情は場所をわきまえずに平気で笑う人です。これは笑うと言うことの反対の言い方をすると「慎ましさ」が欠けていると言うことです。実はこれも肝と同様に、慎ましさの感情に負担が多くなると笑う感情に変わってしまうという病邪が侵入するからなのです。

 胃に関して言いますと、胃は思い憂うとする感情があり、思い悩んでいる時があります。この悩みや苦しみの反対で表すと「素直さ」の感情が存在しているのです。その素直さが欠けてくると思い憂う感情に変わっていくと考えられます。どうしたらいいのだろう、とよく悩みます。その時に、素直さ(信じる)感情が必要になってくるのです。また、悲しいときは、悲しみの感情に対して「強さ」義の感情が欠けているということです。強さが欠けると悲しみは充満してくるのです。

 腎においては、恐れ、怖い感情があります。これについて反対に考えてみますと智(賢さ)の感情が欠けているのです。この賢さの感情が欠けると恐れ、怖がりの感情になると言われていますか。何でもないことに恐れ、つまらない邪宗につけ込まれている方も多いようです。

 以上のように、五臓には五つの感情が精神を養っているのです。自然科学で見えないものをいかに自分の能力で判断できるかが、肉体的にも精神的にも作用する大きな原動力となるのです。これが自分の一生の体質として、また性格として位置づけられる側面にもなっていくのです。

 五行表の中には、肝は春、心は夏、土用は胃、秋は肺、冬は腎と書かれています。春は草木の芽を出させて、毎年若返らしているのですが、人間は歳を重ねて、老いていくだけです。細胞がひとつ一つ成長して、何とも気だるく、じっとしていられないのが春なのです。このように私たちにも春の巡りが分かるのです。冬の間、じっと時を待っていた体内の芽が春になって陽光の下で、萌え出ているのです。東洋医学の思想では、春や夏に盛んになる陽気は、冬至に生まれ、45日後の立春において一番盛んになるとなっています。若い人々を青春時代といいますが、人生において春の年齢です。春は青く、打算も何もなく、若くてひたむきな力強さを感じる言葉です。この季節に肝が配当されているのです。肝は、季節で言う春と照らしても同じように、重要であり、この季節につまづくと植物は、いくら世話をしてもよく育たないのです。「苗半作」と言われるのもこの成長に関する大事な要素が含まれています。この源は、冬のエネルギーの貯えであり、腎の陰の力、生命力と肝の芽を出して元気に活動する気力が大切になります。


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