養生法 T

養生法 T


 一般では、「快食、快便が良い」といわれていますが、古典には「よく食べて、よく眠り、良く便通して、よく働くこと」の四つが調子よいと、身体は自然に従って機能してくれると考えられていました。この良い条件になる為に、いままでに陰陽とか五行論、五味について説明してきたわけです。まず、精神的にストレスがないこと。激しい労働作業などが続かないことも大切です。血液が多量に使われてくると、血の貯えである肝に負担が掛かってきます。すると精神的にイライラしたりすることも多く、考えることも難しくなり、不眠にもなりやすいのです。肝の働きが安定しているとよく眠れるようになるというのは、東洋医学独特の考え方なのです。

 次に、何でも美味しく食べることが重要だということは、誰でも知っていると思います。しかし、好き嫌いがあるのも事実なことです。私の知人に野菜類はほとんど食べず、毎日肉(それもステーキ)やウナギなどの高蛋白質ばかりを食べることが習慣になっている人がいます。食物の偏りが強く、陰陽がアンバランスでは、当然、身体には良くありません。

 また、最近の野菜には「気」がありません。ここで言う「気」とは、以前は台所でキュウリやキャベツを刻むと遠くでも野菜独自の匂いが漂ってきたものです。それが今の野菜にはないということなのです。ビニールハウスで、夏野菜が冬に成育されていると言うことが、野菜の「気」を失わせていると考えると納得できる話です。タマネギを切っても最近は涙があまり出ません。これについても同じことが起こっているのでしょう。

 便通についてですが、毎日なくて3〜4日に1回という方がおられます。このような人は、水が不足していて、腸が乾燥しているから便秘しているようです。このような方は、毎日お茶を少し多く飲むだけで、解決するようです。また、腎臓の働きであるろ過作用も水が少ないと能率が低下し、効率よく働かないようです。このように水の働きは、非常に大切なのです。

 「ふぁ、今日も頑張るぞ」と気合いを入れるのも朝の調子によって変わってきます。この気分の良い条件になるためには、自然界の動き、食物の摂り方、精神的ストレスの解決方法などが揃ってきます。これが揃ってくると鶏のように、朝から元気良く活動できるほど体調が良くなってくるのです。夜更かし、過労、スポーツのやりすぎになど、あまり自分では気が付いていない生活が少しずつ体調に変化を与え、怒り、憂い、悲しみ、怖がりなどの精神的な要素が内臓に負担をかける話は、以前にも説明させていただきました。

 健康への道は、そう簡単にはないのです。まして、特効薬や健康器具、健康食品では養えないのです。春になって芽が出る草木。夏になって茂る樹木。秋になって育つ果物などのように、自然に従った環境に気が付くことが肝要です。


鈴木治療院
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