1997.7.26

最近新鮮に聞こえる言葉遣いについて
「最近よくはやってる?・・・・みたいな言葉遣い。」
「昨日京都に行ったんだけどォ・・・、JR線?・・で行ったわけ。」

こうした言葉遣いをよく耳にする。特に20歳代ぐらいの人たちの会話やテレビでは若い

子を交えたトークショーでひんぱんに使われている表現である。

1 構造

名詞+?+ひと呼吸 →次の言葉
名詞形+? +ひと呼吸 →次の言葉
通常の表現であれば、
「確か〇〇〇〇〇だと思うけれども・・・」
「〇〇〇〇〇に違いないと思われるが、・・・」

といった形になると考えられる。いわば、言葉を省略して使用するものである

2 意味

自分が表現しようとする概念が不確か(自信がない)な時に使用したり、

表現しようとする概念について、相手に同意を求め、あるいは念を押す時に使用

されている。

3 意義

言葉を自分の感情の懸からない言葉として表現したい。あたかも無生物的に、言葉

そのものを投げ出して使おうとするものと思われる。

また、使用する言葉の概念に共通する地盤、背景を持っていることを前提にしたり、

あるいは言葉の概念を共通のものへ近づけたいとする人の間での会話に使用されている

という面もみられる。

4 発展

名詞や名詞形の言葉を、こうした形で使用していくことは、言語がたどる「省略」への

道行きにすぎないのかもしれない。社会全体が高度に情報化され日本の隅々にまで

言葉について大きなブレもなくほぼ共通の概念を形成し得た現在の状況は、あたかも

奈良・平安の王朝時代のようにごく一部の知識人によって創られた歌詠みの社会と通

ずるものを考えざるをえず、短歌や俳句、コピー(一応同じ範疇に入れておく。)の再燃、

発展する土壌みたいなものができつつあるのではないか。

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