探索11日目

昨日は書きながら寝てしまった。反省だ。 続きを書くことにする。大乱戦の話。 意気込んで乗り込んだ、大乱戦。 しかし初っ端からとんでもないことになっていた。 誰が作ったのか、「エロス組」と書かれた垂れ幕が翻っていたんだ! てっきりアーヴィンさんだと思っていた僕だが、逆に問いただされてしまった。 じゃあ…誰なんだろう?少なくともサフィさんとアルクさんじゃない。それは間違いない。 アルテイシアさんも、そんなことをされることはないだろうし。 すると、残るは………。 まあ、深く考えないことにした。うっかり口に出すとご飯を抜かれかねない。 フォウトさんの説教はもうたくさんだ…… とりあえずチーム名はナミサ組、とすることにした。 よくわからないが、とてもしっくり来る。なんでも盗んだバイクでブイブイするらしい。 ……? まあ、なんでもいいや。エロスじゃなければ。 そうして少し気勢をそがれた中、1回戦が始まった。 それがかえって、緊張が解けたのかもしれない。 組み合わせの相性も良かったようだ。 まずは僕が相手の様子を見定め、合図を送りながら自分に「力」を送る。 気のようなもので自分の身体、そして装備に金色の膜を張る技だ。 これで防御力を上げると同時に、相手の心を惑わす効果もある。 少々恥ずかしいのがタマにキズなのだけれど。 次に、「華が無い」なんて言ってやる気のかけらもなかったアーヴィンさん。 しかし戦いが始まるや否や、さっそうと歌を歌いはじめたのにはびっくりした。 歌を聴いているだけで、心が静かに――研ぎ澄まされてゆく。 集中力が高まるのを感じる。これなら……いける。 そう感じて弓を構えた時、今度はナミサさんが眼鏡を光らせた。 「眼鏡のプライド」とおもむろに仰った後…なんと敵全体へ呪いの力が! す、すごい。あの眼鏡には何があるんだろうか。 思わず見惚れた視線を慌てて戻し、狙いを定めた。 しかし、この時、僕はまだ甘かった。 眼鏡のプライド……その真実の意味を、知ることになるのだ。 一方、相手もだまっちゃいない。戦局を有利にするため、布石をしいていた。 互いに遠距離攻撃を終え、近づくと相手の姿がより正確に見える。 ……もしフォウトさんがいれば戦いにならないところだった。 幸いエロス、もといナミサ組にはふさふさマニアはいない。 無事(?)に戦いは始まった。 そして…戦局が拮抗したまま、互いに体力を失っていた時。 僕は、見てしまった。 なんと……ナミサさんの眼鏡から光が! あれはビーム!?ビームだって!? 眼鏡から放たれた筋状の光。それが相手の立派な毛並みに吸い込まれてゆく…! どうやら呪いの一種らしいが……何か、恐ろしいものを見てしまったようだ。 パンサー隊では一度も見たことのない技。 これが、ナミサさんの真の実力。眼鏡のプライドは確かに存在したんだ! どうも男ばかりだから封印を解除されたのだろうか。 その点では、ナミサさんも女性に遠慮しているのだろう。 ……何か気持ちはわかる。きっと心の中では……… そうこうするうちに1回戦は終わった。無事、ナミサ組の勝利だ。まずは1勝。 そのまま次の試合に備えていると勝手に傷や精神が癒されてゆく。 魔法か何かの仕掛けがあるらしい。これで安心して戦える。 そして2回戦。相手は………す、すごい方々だった。(何故か赤い染み) なんと、普段チェック…じゃなくてこっそり覗き…でもなくて。 つねづね噂をうかがっていた、あの3姉妹の皆さんだったのだ。 そりゃもう、何が凄いってその……いや、なんでもない。(この辺りから赤い染みが大量に) とにかく目のやり場に困った試合だった。ところどころ記憶が無い部分もある。 いったい何をどうやって戦ったのかも、よく覚えていない。 ふと気がつけば、あの衣装が見えて……こう、魅惑的な肌が… って何を書いているんだ。仮にも試合。雑念は敵、のはずなのに。 唯一はっきり覚えているのは、相手の必殺技らしきものを自分から受けにいってしまったこと。 身体が勝手に動いていた。あれは、おそろしい技だった。 いや、うれしいなんてことはない。ただ痺れるような感覚が、僕の精神を満たしていった…… 数秒か数分後か、あるいは数時間後。 とにかく、試合はナミサ組の勝利に終わった。 いつの間に勝ったのかもよく判らない。 もうちょっと戦っていたかった……な、なんて思っちゃいけないだろうか。 ナミサさんはどうだったんだろう……? アーヴィンさんはきっと喜んでいたに違いない。 ただ、試合後アーヴィンさんが妙な顔をされていた。 あの意味は何だったんだろう。 そういえば新年会の時も似たような顔されていたような… まあいい。区切りがいいので、続きはまた明日書くことにする。 (赤い染み ここまで) 後はいつも通り。 朝食にはアルテイシアさんの炊き込みご飯。 ……やっぱり量が少なかった。な、泣いてなんかいない。 もっとも、量はともかく、味は素晴らしかった。 塩加減のバランスがいい。草入りのせいか、森の匂いまでした。 母さんの料理より美味しい…なんて言ったら怒られるかな。 次はお腹いっぱい食べたいものだ。 戦闘は蟻2匹が相手だったのだが、すぐに終わった。 しばらく前に苦戦を想像していた相手なのに… 自分、そしてTriad Chainは確かに成長している。 それを感じた一戦だった。 しかし。 戦いの後、1つの高揚感に包まれていた時。 ふと遥か前方を見れば、赤い炎がうっすらと立ち昇っていた。 サフィさんの仰っていた通りだ。 噂で聞く、紅の翼を持つものと、その主。 一瞬、ぞくりとした。 勝ってカブトの緒を締めよ。 気を引き締めなければならない。 強敵との戦いは近い。 作製ではテリスさんの依頼が無事に終わった。 初めてのTC外での注文ということで緊張していたけれど、これで安心だ。 代わりに作って頂いた暗器は非常に使い心地がいい。 あれに見合うものになっていればいいのだけれど。 また、テリスさん自身、とても丁寧で気のいい方だった。 僕より2つか3つ年が下なせいか、安心して話せる。 次の機会があれば、再び依頼を受けたいものだ。 同じ職人同士、腕前も負けていられないな。 励みになる。 …こんなところ、かな。 フォウトさんの料理もうまくしてもらえたし。 あのスープは母さんによく飲まされたものより、何か強そうだけれど。 一瞬のとてつもない苦味さえ我慢すれば、元気が湧いてくるはず。 人には理解してもらえないけれど、アルクさんにはわかってもらえるはず。 ……飲んでもらおうかな?砂地続きで疲れてらっしゃるようだし。 会議で提案しておこう。うん、そうしよう。 では……お休み。

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