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精神保健福祉協会だより 編集後記 抜粋

 第21号(2004.3.31)

◆自殺者が年間3万人を超える事態が、平成10年以降5年間続いています。このような中で3/14、「自殺を防ぐ」をテーマに、「県民のつどい2004」を開催しました。その一週間前の3/8朝、鳥インフルエンザによる大量死隠蔽の疑惑を持たれたまま、浅田農産会長(67)と妻(64)が自殺しました。会長夫婦に同情する声は意外に少なかったように思います。

◆自殺者の9割にうつ病などの精神疾患の診断が可能と言われています。今回のように誘因が明らかな場合に見過ごされ易いですが、何らかの精神疾患が隠されていた可能性があります。急性発症の精神疾患だと、精神科医療の介入する余地は少ないですが、失敗を許さない社会、死んでお詫びすることを当然とする社会の在り方が、夫婦の背中を押した可能性があるのではないでしょうか。

◆3/14講演で、清水先生は自殺を単に病気の問題としてとらえることの偏りを指摘されました。今回を含めて戦後3回の自殺増加の時期があります。昭和元年から15年生まれの「ガラスの世代」がいずれの時期にも多くの自殺者を出しているとのことでした。敗戦を契機に価値観の大変動を迫られた世代としての脆弱性を指摘されました。浅田会長の個人史を知ることはできませんが、ちょうどこの世代に特有の問題解決を選択した可能性があります。

◆「ガラスの世代」から引き続いて、団塊の世代を中心とした世代が自殺の波を押し上げているそうです。バブルの崩壊以降、先行きが不透明な中で事態は進行しているようです。自殺を防止していくためのセイフティネットづくりが早急に求められていると思います。(滋賀県精神神経科診療所協会 上ノ山)





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