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精神保健福祉協会だより 編集後記 抜粋

 第25号(2005.8.31)

編集後記
◆ 郵政民営化法案否決の結果、8月8日衆議院解散となり、そのあおりを受けて障害者自立支援法案も廃案となりました。予算関連法案のためこのままでは170億円の穴が開くといって厚労省では困惑しています。しかしこんな重要な法案が国会審議以前に予算化されてしまっているということ自体が不思議です。

◆ 障害者自立支援法案をめぐる論議のなかで、32条適用者の1〜2割しか課税世帯はないという根拠不明の資料が提出されました。(社会保障審議会資料)32条を救貧政策として位置づけるために無理に作られた資料のようです。少なくとも平成16年度の滋賀県では32条適用者の43%は被用者保険本人または家族であり、実態と大きくかけ離れています。また「重度かつ継続」の対象疾患を時代がかった3病名に制限するとしていますが、今日の疾病構造の変化に十分対応していません。病名による対象制限は無用な偏見をあおる恐れがあります。

◆ 今年6月には同法案の成立を前提として、障害程度区分認定試行事業が全国61カ所で行われました。この試行事業は介護保険のやり方をそのまま踏襲しています。コンピューターが行う一次判定106項目のうち、79項目は介護保険の項目と変わらず、精神障害に特有の項目は8項目だけで、精神障害の程度を反映しません。この施行事業の前に行われた同じ様式の調査でも、精神障害者に対する一次判定の結果は、実際にホームヘルプを利用している8人中、6人が非該当になったようです。(同審議会資料)それにもかかわらず今回の施行事業をかなり強引に推し進めたところに、介護保険で作られたロジックは何としても崩さないという強い意志を感じます。

◆ 滋賀県では同法案の成立の如何にかかわらず、本年8月から、精神障害者手帳2級所持者に関しては32条の自己負担分補助を県独自の精神保健福祉施策として実施しています。これは全国的にも先進的な取り組みで大きく評価されるべきことと考えます。国の政策が自立支援とは名ばかりの迷走を続ける中で、このような形で地方からの明確な意思を示していくことが重要ではないかと思います。(滋賀県精神神経科診療所協会 上ノ山)









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