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精神保健福祉協会だより 編集後記 抜粋 52号(2014.8.31)

◆この夏の気候はとても変則的でした。7月は大変な猛暑で、7/26には東近江市で38.8℃を記録しました。日本中でその日一番高い気温だったそうです。このまま猛暑が続くと思われましたが、8月になると、台風11号・12号が到来。その後は雨続きで、8/15〜17には近江八幡市で228mlの記録的な雨量を記録しました。広島市では大規模な土砂災害が発生し、平成26年8月豪雨と名付けられたようです。
雨の影響で、収穫が遅れた様ですが、夏の終わりに彦根梨を届けて頂きました。不順な気候でしたが濃厚な甘みを味わうことができました。彦根リンゴから作った飲む果実酢も味わいました。私はお昼のチャンポンに入れて食べるのが好きです。

◆先日、就職が決まって喜んでいたはずの患者さんが浮かぬ顔で受診されました。免許センターの質問票にそって、「精神科に受診している」と正直に答えたところ、医師の診断書を求められたとのことでした。「免許を取り上げられたら、やっと決まった仕事に就けない」と言って泣きます。この患者さんには、「運転能力を欠くおそれのある症状は呈していない」との診断書を作成したところ、無事免許を取得できました。
自動車運転に関する二つの法律が今年6月以降施行されて以降、この患者さんのような不安を抱いて受診される方が増えています。「自動車運転死傷行為処罰法」では、精神障害者が重大事故を起こした時、重罰を科せられるおそれがあります。「改正道路交通法」では「一定の症状を呈する病気」について質問票記載が義務付けられています。多くの法律の背景に精神障害者に対する不当な「欠格条項」があります。自動車の運転能力をはじめ様々な生活能力は、病名によって決められるものではありません。このような、偏見や思い込みによる差別をすみやかに解消していく必要があります。

◆H26年度末までに全ての障害福祉サービス利用者に計画相談(ケアマネジメント)を行うことになっています。ケアマネジメントとは地域の様々な社会資源をつなぎ合わせ、利用者のニーズにそって支援体制を作り上げていく仕組みとして、障害者総合支援法において制度化されています。わが国では介護保険とともに導入されたために、ケアマネジャーはサービスの手配や上限管理の役割を期待されることが多いですが、障害福祉の領域では、相談支援専門員と呼ばれ、利用者に寄り添いながら、自立と社会参加に向けて伴走していく重要な役割を期待されています。
 ところが、H25年12月の厚労省資料によれば、全サービス利用者の23.9%しかサービス利用計画を作成できていないようです。これをH27年3月までに100%にするのは大変なことと思います。現状の相談支援体制のままで、ノルマを達成しようとすれば、利用者のニーズを無視した、画一的で薄っぺらな支援計画で済ませてしまうおそれがあります。また相談支援専門員の疲弊が、より一層強まるおそれがあります。相談支援体制の充実が今こそ望まれます。

(滋賀県精神神経科診療所協会 上ノ山)




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