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精神保健福祉協会だより 編集後記 抜粋 第53号(2014.12.31)

◆2015年は井伊直弼公生誕200年だそうです。彦根市では様々なイベントが準備されています。この秋には「柘榴坂の仇討」が彦根で先行上映されました。映画好きの患者さんは、近くのビバシティで主演の中井貴一に出会ったと喜んでいました。この映画では吉右衛門の直弼公が、貫録があって良かったですが、NHKの「花燃ゆ」ではどう描かれるかやや心配です。

◆2015年は団塊の世代が、全て65歳を超えます。超高齢化社会を迎えて、認知症問題は、大きな社会問題となっています。我が国でも2010年で、認知症の人が439万人、予備軍と言われる軽度認知障害の人が380万人と推計されています。高齢者の4人に一人が認知症関連の障害を持つことになります。こうした中で、厚労省はH24年6月に「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を発表しました。そこでは「認知症の人の意志を尊重し、できるだけ入院せずに、住み慣れた地域で長く支援していく」を目指し、認知症の早期発見・早期対応が強く求められています。そのような中で守山市の藤本クリニックが、全国に先駆けて「認知症疾患医療センター診療所型」の指定を受けています。これまでの「もの忘れカフェ」などの地域活動が評価されたものと思われます。

◆今日の政策的課題として、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される、地域包括ケアシステムの構築が求められています。このシステムは、これまで高齢者介護の領域で主に語られてきましたが、高齢障害者の増加が見込まれる中で、障害者福祉の領域とリンクさせて考えていく必要があります。介護保険の年齢になって、それまでの障害福祉サービスが制限されるなどいった事例がみられます。地域における医療及び介護を総合的に確保するために、2015年4月に向けて地域医療ビジョンの策定が進められていますが、その中で、障害福祉の領域がどのように組み込まれていくのか、また、精神科医療がどのような役割を果たしうるのかなどといった点が、未だ明確になっていません。

◆12月の解散総選挙では、自民・公明両党が2/3以上の議席を確保し、与党の圧勝に終わりました。アベノミクスなる経済政策が争点とされた選挙戦でしたが、そのさ中の12/10に、国家機密の漏洩に対して厳罰を科すという「特定秘密保護法」が施行されました。この法律の成立によって、国民の知る権利が脅かされる恐れが懸念されています。さらに、秘密を扱う公務員らには「適正評価」が求められます。精神科受診歴などいくつかの項目を自主申告させ、それを受けて、医療機関等に個人情報の照会が行われることになりそうです。国家機密を守るという大義の前に、医師の守秘義務など吹き消されてしまう勢いです。精神科受診歴があれば、秘密を漏らすおそれがあるという偏見を生む可能性があります。また、特定秘密に関わる可能性のある公務員などの受診抑制が懸念されます。

(滋賀県精神神経科診療所協会 上ノ山)




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