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精神保健福祉協会だより 編集後記 抜粋 第54号(2015.4.10)

◆4/2は世界自閉症啓発デーで、彦根城がブルーにライトアップされました。4/2〜4/8は発達障害者啓発週間だそうです。3月中は、大変寒い日が続いていましたが、今年の桜は4月に入って一気に開花しました。お堀に青い光の筋が浮かび、8分に咲いた桜とのコントラストが、幻想的な雰囲気を創り出していました。その後、雨模様の日が続き、せっかくの花をゆっくりと楽しめる日は少なかったようです。

◆3/19には落語家桂米朝さんが亡くなられました。人間国宝とはいえ、新聞各紙の一面トップに訃報が載ったのには驚きました。米朝落語全集増補改訂版には約160篇もの落語が収載されています。戦後殆どすたれかけていた上方落語を掘り起こしたというだけでなく、これらを高座にかけたということに圧倒されます。しかも大変分かりやすく、親しみを持てる形で、落語の普及に尽力されました。晩年脳梗塞を患った後は、長男の米団治さんによれば、登「高座」拒否症になっていたとのことです。全盛期のパフォーマンスに比して忸怩たる思いがあったのでしょうが、口上に登壇するだけで聴衆を引き付ける稀有な存在でした。

◆精神障害者の労災補償請求件数はH21年度1136件に対して、H25年度では1409件に上り、過去最高を記録しています。このような中、労働安全衛生法の一部を改正する法律が、平成26年6月25日に公布されました。従業員50人以上の事業所は、今年12月1日から年に1回以上、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するためのストレスチェックが義務づけられます。当初は、自殺対策の一環として、精神疾患の早期発見・早期治療(二次予防)を目指して検討されてきましたが、政権交代を経て、現在は「労働者自身のストレスへの気づきを促す」「ストレスの原因となる職場環境の改善につなげる」という、一次予防に重点が置かれています。高ストレスとされる個人の面接を通して、職場環境の改善につなげるような大変な役割が、産業医をはじめとした産業保健スタッフに課せられることになります。必然的に精神科医との緊密な連携が求められることになります。

◆精神保健福祉法のH25年改正に伴い、「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」がH26年3月に策定されました。「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本理念に沿って、精神障害者に対する保健医療福祉に携わる全ての関係者が目指すべき方向性が示されています。「急性期の患者に手厚い医療を提供するため、医師、看護職員は一般病床と同等の配置を目指す」「在院期間が1年を超えないうちに退院できるよう、多職種による質の高いチーム医療を提供し、退院支援等の取組を推進する」「1年以上の長期在院者の地域移行を推進するため、多職種による退院促進に向けた取組を推進する」といった内容のほかに、精神障害者の居宅等における保健医療サービス及び福祉サービスの充実などの記載がちりばめられています。精神科医療が大きく変わっていく気配を感じますが、相変わらず掛け声だけに終わるかも知れません。注意深く見守っていく必要があります。

(滋賀県精神科診療所協会 上ノ山)




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