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精神保健福祉協会だより 編集後記 抜粋 第55号(2015.8.31)

◆今年の夏は「暑いですね」「この暑さは尋常ではないですね」で始まる診察が定番でした。最高気温が35度以上の猛暑日が、東京では8日連続で続いたことが新記録ということで大きく取り上げられました。そのような中、2020年東京オリンピックは真夏開催のため、大変心配になってきます。メイン会場の新国立競技場は、建設コストを削減するために客席の冷房が無くなったそうです。去年までは節電を強く呼びかけられましたが、今年はむしろ熱中症対策として、エアコンで体を冷やすことを勧められています。今やエアコンなしの生活は考えにくくなってしまいました。風鈴、打ち水、井戸の西瓜、冷えた柳陰などといった風物詩で涼を味わうような生活は、どこかに行ってしまったように思えます。

◆漫才のピース又吉直樹さんが、「火花」で芥川賞を受賞しました。お笑い界の快挙です。すでに発行230万部に達したそうです。近く、映像化も決まったようです。若手漫才師が、天才肌の先輩漫才師との関係を中心に、笑いを求めて日々格闘する姿がとても印象深く描かれています。芥川賞・直木賞授賞式の壇上では、3人の受賞者の中で長髪のちんちくりんが異彩を放っていました。「芥川はおそらく僕みたいな髪型のやつは嫌いやと思うんです」と言って笑いをとっていました。火花では「漫才師とはこうあるべきやと語る者は永遠に漫才師になられへん・・本当の漫才師というのは、極端な話、野菜売ってても漫才師やねん」と先輩に語らせています。かれは壇上で見事に野菜を売っていたように思いました。

◆身体や知的障害者では、手帳を取得するとJRなどの交通運賃の割引が行われています。ところが、精神障害者にはこの規定が適用されていません。多くの精神障害者とその家族は、年金や限られた収入のもとで経済的に苦しい生活を送っています。そのため、作業所利用や、デイケア通所を控えたり、様々な社会参加をあきらめたりすることがしばしばです。精神障害者だけを交通運賃割引適用除外にすることは、2013年に制定された障害者差別解消法、そして2014年に批准された国連障害者権利条約に反しています。全国精神保健福祉連合会(みんなねっと)では「他障害同等の交通運賃割引の適用を求める全国運動」を展開しています。署名など積極的なご協力をお願いします。

◆東日本大震災から4年以上経過し、生活の再建が進んだ人がいる一方、延々と仮設住宅での生活を余儀なくされている人がいて、復興の格差が広がっています。そのような中で、健康被害としてのアルコール問題が大きくなっています。震災こころのケア・ネットワークみやぎ・からころステーションでは、石巻地域で被災された方々のメンタルヘルスに関わるアウトリーチ支援を行っています。全国の精神科診療所の医師も交代で応援に出向いています。この度、アルコール問題・心理教育ツールとして、「アル・コル・かるた」ができました。「あ・・アセトアルデヒド 二日酔いの 毒素です」など、面白いカードがめくる度に次々と現れてきます。遊びの中でアルコール問題の啓発に役立つように作られています。からころステーションに寄付と同時に申し込めば送ってもらえます。

(滋賀県精神科診療所協会 上ノ山)




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