探索手記-5日目-

流石に四対三は不利極まりない。 そういうわけで、早速習得したての歩行雑草召喚魔法を使用してみる。 ちなみに、歩行雑草を召喚時は「萌えろ!」と言わなければいけないらしい。とても困る。 歩行雑草といえば、パーティメンバーのアルクさんも歩行雑草だ。 しかし、私が喚んだ、あるいは私達の目の前に立ちふさがるそれとは明らかに姿が掛け離れている。 彼女は雌花だそうだが…つまり、彼らは雄花という事になるのだろうか。 花を咲かせ、受粉をし、実らせる。 ……あまり想像したくない場面を想像してしまった。 もし違っていたらあまりにも失礼なのでこの話題は終了する事にする。 大乱戦、と呼ばれる物が行われた。 詳しくは解らないけれど、希望者による集団訓練…のようなものだろうか。 最後まで勝ち残った者には多少の褒賞があり、また最後まで勝ち残れなくても一戦勝ち抜く毎にオマケがつくそうだ。 私達も参加したけれど、流石に最後まで勝ち抜く事は出来なかった。 が、それなりに収穫はある。新しい召喚術を試す事が出来たのは僥倖だ。 私の他にもう一人、魔法使いを呼び出す事ができる…そういうもの。 問題は、その魔法使いがあまりにも小さい(というか幼い?)事か。 隕石召喚を使おうとして巨大な転がる石を召喚してみたり(しかも、それが馬鹿にできない威力だったり)、見ている分にはなかなか愉快なのだけど。 前回の手記にも書いたけれど、召喚術の問題点は兎に角集中力が必要で、歩行雑草を一体喚んだだけで精神力の大部分を持っていかれる所にある。 この小さな魔術師に至っては、召喚前の儀式だけで私の精神力が枯渇してしまう程だ。 召喚術に力を入れるよりも、他の…純魔術に力を入れた方がパーティにとっては有用かもしれない。 休憩中、ふと私の視界に映像が投影された。 他の人の様子を伺うに、どうやらこの映像は私にしか見えていないらしい。 どういう理論かは解らないけれど(そもそも魔法的な物でなければ私は詳しくない)、戦闘中ではなかったのが助かる。 その映像によって私に届けられたメッセージはこうだった。 「こんにちはァーーーサンタさんですよ おめェ達にプレゼントをなすりつけて行く 拒否はできない いやできるけど どっちだ」 ……つまり、要はサンタクロースが時期からは少々早いプレゼントをしてくれる、という事なのだろう。 しかし「なすりつけて行く」というあたりアレなものだったらどうしよう。例えばここでは書けないような特殊なものだったり。 一抹の不安が、私を襲うけれど…貰える物は貰っておこう。 私はいわゆる貴族よりは平民に近い。俗物的で結構なのだ。 かくして、探索6日目の朝、私の枕もとには比較的大きめな包みが置かれる事となった。

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