探索11日目

蟻にたかられる。 どうも俺達の進行方向は蟻のテリトリーにでもひっかかってるのか、やたらと蟻と遭遇する事が多い。 闘う相手としてはあまり旨味が無いので出来れば避けたいところなのだが……まあ、仕方あるまい。 強さとしては油断しなければどうということもない、程度だろうか。 余裕を持って、蹴散らす。 力尽きた蟻から漏れる、どろり、と鼻を突く蟻酸の酸っぱい臭いが周囲に漂う。 しかし傷めすぎた甲殻は使い物にならず、中身は食用になるようなものではなく。 仕方がないので強靭な顎部分だけを持ち帰ることにした。 欲を言えばもう少し使い出のある素材を採取したいところなのだが。やれやれ…… そういえばコオロギの件で精神的にぐったりしていたら暑さにやられたのかと心配されてしまった。 ……傍目から見るとそんなようにも見えるのだろうか。 まあ、砂地でコートを羽織っていれば暑くも見えるか。陽射し避けの意味もあるのだけれどな。 この程度ならまだどうということもない。近くに水場もある、砂漠と言う程ではない砂地。 足場にさえ気をつければそうも過酷な環境ではない。 丘の向こうでレディ……らしき大柄な人影がこちらに向けて日傘を振ったように、見えた。 隊内の誰かの知己だろうか。なかなか酔狂な出で立ちと言うかなんと言うか…… 骨格も、そう、あれではまるで……。 いや、あれはきっと熱砂の見せた―――

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