探索17日目

狭い、砂に埋もれた通路を抜けて。 駱駝の群れとの、交戦。みっしりと道を塞ぐように4匹の巨大な駱駝が眼前に立ち塞がる。 くちゃくちゃと不快な音を立てて顎を動かし、こちらを見下す様はどう見ても好意的ではない。 むしろ、馬鹿にしているとしかとれない態度だ。 街角にいる三下にしか見えない仕草が僅かに癇に障る。 その後方に砂の塊が僅かに震えたのはなんとか見逃さずに済んだ。 サンドジェリー。 砂地の暗殺者。 駱駝が襲った後の相手を貪ろうという魂胆だろうか。 ブレードを取り出し、バレルに取り付ける。今日は、ダートは用いないと決めた。 この混戦模様では飛び道具よりも近接武器の方が向いているだろうからだ。 刺突の技の鍛錬をしておきたい、というのも多分にあったのだが。 毒を含み、吹き付け気勢を削ぎ、 波打つ刃を振るい、肉を裂き、筋を断ち、血飛沫を上げ、臓物を撒き散らし 指先にて経穴を探り、鋭く穿ち サフィのリピーターから連続して吐き出される矢が駱駝の頭部を次々と矢襖に変え アルクの魔術が肉を爆ぜさせ、灼き払っていく。 息を荒げ、見回すと通路に動く影は既に無く。 物言わぬ骸が湯気を立て無惨な姿を晒すのみになっていた。 数が多過ぎたのか、俺の腕が未熟なせいか、体組織を破壊し過ぎていて素材や食材として 使える部位はあまりにも少なかった。 流した血と引き換えに得るもののあまりの少なさに溜息をつく。 これでは、ただの―――虐殺だ。 獣以下の、無駄な闘い。 暗澹とした気分で重い脚を引きずる。 この日は、あまりにも無駄が多過ぎる戦いだった。 ふと、瞼を閉じると駱駝が見せた幻覚が脳裏をかすめる。 思い出して、吐き気が込み上げてきた。夢にまで出てきそうな勢いだ。 ……今日は、どうにも寝付きが悪そうだ。

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