探索1日目

そもそも招待状は私宛ではなかった。 私の実家は流浪系の商人一家だ。冒険者でも傭兵でもある父母と、沢山の兄弟達。しかも父母は各々民族色の強い地域の出身。ともすれば 人との繋がりは否応なしに多くなる。 おそらく招待状もそんなツテで「レギオン」宛てに来たのだろう。 それにしても文面に「ククッ」やら「―――」を用いた招待状は初めて見た。そんな真偽以前に怪しさ大爆発の招待状にも、父は冒険心を 刺激されたようだ。 今にも出立せんと奮起する父を止めるには、出稼ぎの傭兵業で培ったコブシを以てする他無かった。母は無言で私の行為を許可してくれた。 待ち受けるのは島全体が遺跡になった、奇怪な場所。途中で意気投合した同業者達とパーティを組めることになったのは、まさに僥 倖という他ない。 見知らぬ土地に対する不安は誰にでもあると思いたい。 人数は9人だが、流石に多すぎると言うことで3人の分隊を3つ編成することになった。 意外に女性が多いのには驚いたが、もっと驚いたのは、見たことのない種族の者がかなり居るということだった。 このパーティに限らず、島に集まる冒険者達の殆どは人間ではないように見受けられる(単に目立つ姿の者が多いからそう見える、という可 能性も付け加えておく)。 ―――人外魔境。 そんな言葉が浮かんだが、ここまで来て尻込みしていても致し方ない。何時だってやり方はあるのだから。

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