相生W (五臓の応用)

相生W (五臓の応用)


 「土」の作用と「金」の作用は、「土」が胃の性格で「金」が肺の性格であることから、「木」から「火」、「火」から「土」、「土」から「金」と親が子を産むように自然に合致した作用に照らして働いています。これが五行説といわれる基礎学です。易学も同じ理論です。木、火、土、金、水に内臓を割り当てて考えると肝の「木」が、心の「火」を生んで、そして胃の「土」を生むというように、お互いが助け合っているのです。

 その中で肝の働きで、もし何らかの原因で疲れが発生すると肝臓の機能に変化をきたしてきます。その時によく聞くと肝の作用で現れる症状を訴え、肺や胃の症状は全然訴えません。ですので、この訴えをよく聞き、どの臓腑が関係しているか探る必要があります。このような問診で訴える症状として、肝は頭痛、不眠、目の疲れ、筋肉痛、筋肉の引きつり、イライラ、短気、腰痛、五十肩、肩背部の凝りなどがあります。

 では、肩凝りで来院されたときにどのように治療するか説明します。一般では、肩、背、頚、腰、足と必要に応じて治療します。しかし、この肩凝りは胃腸の疲れからか、風邪を引いて、気管支や肺の呼吸の疲れから肩凝りをしているのか。夜遅くまで仕事や会議などの難しい問題処理で、ストレスが溜まって、血液の消費が激しくなって肝の疲労からきているのかによって、治療点、経絡の流れ、ツボの運用など全て変わってきます。このようなときに、五行説を活用して治療するのです。ストレスなどから肝に疲労がきている場合、肝(木)と肝の母である腎(水)を治療します。胃腸関係や肺の関係も大切なのですが、腎の働きは特に重要になってきます。肝は、血を貯える働きを持っています。この血の中には、多くの水が含まれており、肝の働きに疲労が出ると血が汚れ、または不足し、熱を持ったりと様々な症状が出てきます。この肝を元気にするには、肝のツボを補い、肝に関係する経絡・ツボを刺激することが基本になるのです。そこで親である腎と本人である肝をしっかりと治療すれば早く快復するのです。

 これが鍼灸術の本当の治療です。古典の原則が大事だということが、分かっていただけると思います。当然、治療では簡単にはいきませんが、身体の不調を訴えるには必ずその原因になるものがあります。外から侵入する病原体からの症状、精神的な内から来る病因と多くが複雑に絡み合って症状を訴えます。そんな時もこの五行説と相生の組み合わせを応用して治療するのです。病院に行ったときも西洋医学、東洋医学に関係なく現在の症状をそのまま訴えることが早く快復する条件になるのです。


鈴木治療院
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