脈について U

脈について U


 脈は、身体のどの部分でもわかります。静かにしておればどなたにもわかるのです。長年臨床経験を積んでいる治療師は、患者の手首をそっと握り、脈を診るだけで、熱があるのか、痛みがあるか、冷えているのか、貧血なのか、胃の働きが弱っているのか、ストレスなどによりイライラしているのか、水分が不足しているのか・・・等。診断することができるのです。この診断方法は、古代からの経験の集積であり、実に素晴らしい臨床医学であり、これを応用できないと言うのは、非常にもったいないのです。

 脈には、細かく分類すると20数種類の変化があり、病人が死に至るときの脈や絶命の時の脈なども古典では説明されています。みなさんにも、速さは普通でそっと触れただけではっきりわかる脈があります。このような脈は、大体高血圧症や動脈硬化症の人に多い脈です。それとは反対に、手首を少し強めに押しても脈が触れない人がいます。または、触れても細い絹糸のように感じる脈もあります。これらの力のない脈は、胃の陽気(エネルギー)が不足している人なのです。だから、仕事をするととても疲れやすく、身体のだるさを訴えることが多いのです。このような症状の方は、少々の甘味(バナナ、ブドウ)や土ショウガを食すると元気が出てきますので、食物で対処するのも良いです。しかし、生まれながらにしてこのような体質を持っている方もいますので、自分の普段からの体調を知っておくことがとても大切です。

 脈の弱い人は、冷飲食を控えて下さい。また、脈が不整脈だととても気になるものです。東洋医学において、不整脈は心の症状として慎重に診断、治療をしています。医療の進歩により、心配のいらない不整脈があることがわかってきましたが、医師の診断は絶対に必要ですので、ご注意下さい。

 腰が痛い、肩が凝っていると治療に来られますが、このような場合すぐに、腰や肩に鍼を打ってはいけないのです。血圧の具合、血の不足、水の不足、過労の具合等、問診を必ず行うことが大切です。そして問診では得られにくい、内臓の働きを探るのに脈を診て、腹を診て、身体を触診することが基本になります。血の不足や水の不足は、脈によって大体知ることができます。これを知ることにより、治療術が浅い刺激で良いのか、深い刺激が必要か判断して、治療することが患者の明日からの行動に大きな違いが出てくるのです。 現在、多くの治療院が増えてきています。脈が診られて、本来の治療原則を身につけている治療師を見つけることは、大変難しいかも知れないですが、身体を任せるには惜しんではいけない重要なことなのです。


鈴木治療院
滋賀県彦根市後三条町350−3
TEL:0749-24-1502 FAX:0749-24-0408
E-mail:norinori@pop.biwako.ne.jp

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