病気の原因 V

病気の原因 V


 病気の原因は、風や寒などの影響による外からの邪、ウイルス病原菌などの感染症、そして怒りや思い悩む内側からの精神作用があり、労働や房事過多による病因もあります。また、食物による病因も説明させていただきましたが、私たちが日常病気を防ぐためにはこれらの病気の原因を知ることが大きな養生法でもあります。

 東南アジアへ旅行した人の中で、赤痢やコレラにを患っていた人がいました。しかし、同じ条件の中で生活していた方でも発病せずに、丈夫な人と差が出てきたのです。このように病気になった人は、生まれながらの体質もあるでしょうが、生活している中で、このような体質へなっていったように思われます。知らず知らずのうちに、陽気の不足が生じて、病原菌の侵入を許したようです。発病しなかった人は、体力があったのでしょう。すなわち、陽気が充満していたので、外邪の侵入を防いでくれたのです。確固たるやさしい、素直な、凛々しい精神力が旺盛な性格だったと思われます。

 古代中国におきましては、食物においては細かく性質を検討され、身体に良いものを多く育てて、選んできました。この分類が、「酸、苦、甘、辛、塩」になります。食べ過ぎたとき、または不足の時にこの五味の働く作用が関係しているのです。この五味と五臓のお互いの機能は、五行表でも説明したように、古代人が体験した幾多の経験から発見された、東洋医学の中でも最も貴重なものなのです。

 例えば、酸は収れんしすぎると胃腸が縮んでしまいます。胃腸の弱い人が、酸のものを多食すると胃腸の陽気を収れんしますので、胃の働きが減退します。しかし、食欲旺盛の人には、抑制作用があるので、良い食物になるのです。酒の席では必ず酢の物が付いてきます。酒を飲んでも早く胃が疲れないように、また酢の物を食べることによって、胃の壁が少し縮むことにより、胃腸がしっかりするので、悪酔い防止にもなります。このように酢の物は、長い経験から出てきた生活の知恵でもあると思います。普段何とも思わずに食べている物には、何らかの理由があるのも多く、古くから使われている食材は大切に、いつもでも残していかなければならないと思います。また、甘味の食物は疲労回復に効果がありますが、食べ過ぎると肌肉が緩んできます。中年女性で肥満な方は、この甘味を摂りすぎています。また、水分不足により体内に熱が発生するため、食欲が増進されるのです。甘味は、胃腸の緊張度を減退させるので、本来の消化活動ができなくなります。

 辛味は、秋冬の寒いときに一時的に身体を温めて、発汗させる作用があります。辛味を時々摂取することにより、風邪の侵入予防を行うことができるのです。


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