暦について T

暦について T


 誰もが日常生活でお世話になっている暦について、ここでは説明します。古代人の生活体験と必要性に迫られて生み出した暦は、知るほどに感心するばかりです。暦の歴史は、広い中国の東西において、発達してきました。その基礎となったのは、いままで説明してきた陰陽五行論が土台となっています。特に、自然界のなかで生活を上手に適応させて行くには、四季の変化の移り変わりと陰陽とが切っても切れない関係にあるのです。

 自分たちが生活して、春に木の芽が出て、魚類は産卵する。夏は枝葉も茂り、秋には実が大きく成熟する。この自然の働きを見逃すことなく積み重ねての経験哲学でもあるのです。また、人間においても春に打つ脈、夏の暑い頃の脈、秋の涼しい頃の脈、冬の静かに落ち着いた脈とそれぞれの季節の変わり目に感じる土用の時期の脈と、脈を打つ強さが大きく分けられます。

 四季を冬の冬至から60日目を季節の変わり目と考え、6回で360日になります。これを昔の占いや易学では、大陰の季節とか陽明の季節と称して応用してきました。しかし、一年に5日のずれが生じますので、その差は冬至の時期に巡ってきます。十干十二支の甲子(両方初めという意味)を計算して応用していたのです。そして陰の季節に3回、陽の季節に3回の計6回は、12ヶ月にて考えると約2ヶ月で陰と陽が変わることになります。この陰の強い冬と陽の強い夏を身体の働きにうまく結びつけたのです。この6つの区別を倍の12として一年をまとめ、さらにはそれを24に分けて二十四節にまで区別してきたのです。

 十二支にはご存じの通り、子、丑、寅、卯、辰、巳、未、酉、戌、亥があります。12月の冬至の時から春になるので、子の月が12月、丑の月が1月となり、亥の月は11月となってきます。子の性格は種子であり、一日で言うと夜中にあたります。夜中の12時から2時が「丑の刻」で、子、丑、寅の時間は夜の10時から朝の4時となり陰の時間帯となります。

 十二支の作用は、農作業の成長に関係づけただけでなく、身体の内蔵にも関連しています。子は胆、丑は肝、虎は肺、卯は大腸などと関係しています。例えば、肺の働きの悪い子供が気管支喘息になって、ゼイゼイと発作を出して苦しんでいる時間は寅の時間である夜明け前にあたります。このように古代人は自然働きに照らして、生活をより豊かにしたのです。


鈴木治療院
滋賀県彦根市後三条町350−3
TEL:0749-24-1502 FAX:0749-24-0408
E-mail:norinori@pop.biwako.ne.jp

【もどる】 【トップページ】 【つぎ】