陰と陽 U

陰と陽 U


 陰陽論を分かりやすく別の角度から説明したいと思います。

 陰の性格は、静的で寒性であり、あらゆる生物の原動力になります。陽気が働くのも実は、この陰の気(精気)があるからなのです。この陰の気(精気)に力の衰えが発生したり、疲労が出てくると陽の活動に変化が生じて、これが病気になっていくのです。

 内臓にも陰陽があります。陰の内臓は、肝、心、脾、肺、腎の臓がつく臓器です。陽の内臓は、胃、小腸、大腸、胆、など臓がつかない臓器です。普段、頭が痛い、目が疲れる、肩こりといった病院の検査では異常がないのに、症状を訴えることが多くあります。このような時、我々の治療院へ来院されますが、脉診(脈を見る診断法)や問診をしてみると陰の臓に疲れがあったり、元気不足の場合が多くあります。以上のように、気になる症状がまだ初期の頃に臓の動きを把握し、対処することがとても大切です。

 次に、種を蒔いて育てる野菜について説明します。天から降り注ぐ太陽の陽光は当然、陽の働きです。なくてはならないとても大切な力です。日陰では苗は育ちません。また、種は柔らかく水分を含んだ畑に蒔きます。川原の石が多いところや道のような固いところでは、芽が出ません。この土が陰の働きに相当します。生命力をどんどんと伸ばしてくれるのです。「天からの陽気と地からの陰気が地上で合体して生物をつくる。」と古典では説いています。ここで、陰の気の重要性を確認していただきたいのです。

 人間にも当然、陰と陽が存在しています。季節を通して陰と陽のバランスを保つことが健康であり、崩れると病気になります。冷夏の時に稲作が不作になるのと同じなのです。内蔵には、五臓と呼ばれる陰の臓があります。その中でも一番陰の性格持っている臓器が腎臓です。下腹部にあり、体内奥静かに働いている臓器です。生命力の原動力である精気(エネルギー)を持っているので、特に大切です。その他の各臓器(肝、心、脾、肺)などは、それぞれに自分の必要な機能を充実させ、身体に必要に応じて働きを発揮しています。陽の性格持っている臓器(胃、小腸、大腸、胆)などは、収納して貯め込むと逆に悪くなりますので、必要に応じて、食物を流しながら途中で五臓に必要なエネルギー(気)を送っているのです。私たちの身体も先程述べた太陽と土の交流のように、心臓にある陽気が降り、腎臓にある陰気が上昇して、腹の位置で胃と腸を正しく活動している時が健康です。しかし、心臓にある陽気は熱ですので、上に昇りやすく、腎の陰気は下に降りやすく、その結果足腰を冷えさせてしまいます。陰気を上昇させ、陽気を下降させる作用は、腎の力ですので、特に大切にしてください。


鈴木治療院
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